I'm just holding on for tonight.

どこにも行けない呟き

【和訳】Happy Family / Sundara Karma

機能不全の家族を歌った、冷めた曲。

Happy Family

Left and right, they're calling me back home
And I've heard their cries
I've felt it in my bones
どこにいても
彼らが僕を呼んでいる
泣き声が聞こえる
骨の中まで響いてくる

Left and right, they choke me tight
I'm overworn and out of sight
I've heard their cries
I've felt it in my bones
どこにいても
彼らが僕の首をきつく締めあげる
くたびれて何も見えない
泣き声が聞こえる
骨の中まで響いてくる

Been searching for a long time, in this town
We're looking for a goldmine
So we can get out
To find a place, or waste away
長いこと この町で探してる
僕らは金鉱を探してる
そうすればここから出ていけるから
居場所を見つけるか
あるいは時間を無駄にするだけか

Another day that goes by
Another card, we know we should be grateful
But sometimes it's hard, we're so alone
But it's not for long
過ぎていく日々と
手に入れる言葉
感謝すべきなのは分かってる
でも時々難しい 僕らは孤独だから
ずっとそうとは限らないけど

Well maybe we were disavowed
Careful what you wish for now
Nothing lasts forever
Time will always take its toll
きっと僕らは否定されたんだ
願い事をする時は気をつけろ
永遠に続くものなんか無い
いつだって時が奪い去っていく

And if a broken home is on the shelf
You know what we should ask ourselves
Were we ever happy acting in a family role?
壊れた家庭が棚の中にあったら
自分の胸に聞いてみるんだ
僕らは家族を演じてて幸せだったか?

Been dreaming of those bright lights, in the city
Waking with a cold fright
Oh what a pity, a bad nights sleep
The fourth this week
あの町の あの眩い光を夢見てる
寒さに震えながら歩いてる
なんて惨めな 眠れない夜
今週でもう4度目だ

You're longing for a partner
To get you through, wishing that in time
You'll find someone to hold onto to
君は仲間を欲しがってる
君自身を支えてくれる人を
いつか手に入れられると願ってる
きっと頼れる誰かに出会えるはずさ

But maybe we were disavowed
Careful what you wish for now
Nothing lasts forever
Time will always take its toll
でもきっと僕らは否定されたんだ
願い事をする時は気をつけろ
永遠に続くものなんか無い
いつだって時が奪い去っていく

And if a broken home is on the shelf
You know what we should ask ourselves
Were we ever happy acting in a family role?
壊れた家庭が棚の中にあったら
自分の胸に聞いてみるんだ
僕らは家族を演じてて幸せだったか?

Heavens have you seen
The news that's on the screen
It's all violence, heartbreak and misery
空よ 君は見たことがあるかい
画面の中のニュースを
暴力と 悲劇と 不幸が全てだ

Heavens have you seen
What they have done to me
I'm a hollow shell from the grim 90's
空よ 君は見たことがあるかい
彼らが僕にしてきた仕打ちを
僕は陰鬱な90年代が産み出した空虚だ

Maybe we were disavowed
Careful what you wish for now
Nothing lasts forever
Time will always take its toll
きっと僕らは否定されたんだ
願い事をする時は気をつけろ
永遠に続くものなんか無い
いつだって時が奪い去っていく

And if a broken home is on the shelf
We know what we should ask ourselves
Were we ever happy acting in a family role?
壊れた家庭が棚の中にあったら
自分の胸に聞いてみるんだ
僕らは家族を演じてて幸せだったか?

ボーカルOscar自身の子供時代が重なっているそう。

アルバムタイトルがYouth Is Only Ever Fun in Retrospect(青春は思い出の中でだけ楽しい)なの、冷めてて好きすぎる。

底抜けに明るいUSポップパンクから洋楽に入った私は、UKロックの雲泥の差にびっくりしちゃったよ。なんでこんなドロドロなの。

でもどう考えてもこっちの方が私の居場所だった。

 

彼らは悟りを開いたような曲を沢山書いてる感じがする。ファンの誰かが彼らの曲をmost zen music everって言ってて笑った。

バンド名、Sundara Karma(美しき輪廻)はヒンドゥー教サンスクリット語だから、そういう宗教にも関心があるのか。

なんかそんな感じのインタビューも読んだ気がするけれど、記憶が曖昧だからソース見つけたら貼り付ける。

 

【和訳】god save me, but don't drown me out / YUNGBLUD

若者のフラストレーションを爆発させたような曲。彼が時々書くエモい曲が本当にエモすぎて、めちゃくちゃ刺さる。

実際この曲のレコーディング中、彼はずっと泣きっぱなしだったらしい。

こういう曲をライブで聴きたいからこそ、単独公演を心待ちにしてる。

god save me, but don't drown me out

Calm me down before I sleep
'Cause I don't know where I've just been
And the morning seems so far away
And the drugs just hit, so I'm wide awake
眠るまでの間 落ち着かせてよ
自分がどこにいたのかも分からないんだ
朝が永遠に来ない気がする
ドラッグが効いて 目が冴えちまった

Not gonna waste my life
'cause I've been fucked up
'Cause it doesn't matter
So waste my time, and God save all of us
And the walls, they'll shatter
めちゃくちゃにされてたって
人生を無駄になんかするもんか
そんなの関係ないんだ
俺の邪魔をしてみろ
神様が俺達を救ってくれるはず
壁だってきっと砕け散る

And I won't let my insecurities
define who I am, I am
Not gonna waste my life
'cause I've been fucked up
'Cause it doesn't matter
もう不安に支配なんかさせない
俺を!俺という人間を!
めちゃくちゃにされてたって
人生を無駄になんかするもんか
そんなの関係ないんだ

Take a breath and try to think straight
'Cause there's so much pressure on my fuckin' brain
And my blood runs thin 'cause I'm off my face
And my shoulders weigh more than I can take
(I can't fucking take it)
息を吸って 必死に考えるんだ
ちっぽけな脳みそが
プレッシャーでいっぱいだから
薬漬けで まともに血がまわってない
肩の重荷に耐えられないよ
こんなの無理だ

Not gonna waste my life
'cause I've been fucked up
'Cause it doesn't matter
So waste my time, and God save all of us
And the walls, they'll shatter
めちゃくちゃにされてたって
人生を無駄になんかするもんか
そんなの関係ないんだ
俺の邪魔をしてみろ
神様が俺達を救ってくれるはず
壁だってきっと砕け散る

And I won't let my insecurities
define who I am, I am
Not gonna waste my life
'cause I've been fucked up
'Cause it doesn't matter
もう不安に支配なんかさせない
俺を!俺という人間を!
めちゃくちゃにされてたって
人生を無駄になんかするもんか
そんなの関係ないんだ

God save, God save all of us
God save, God save all of us
God save, God save all of us
God save, God save all of us
God save, God save all of us
God save, God save all of us (And finally I know)
God save, God save all of us (Finally I know)
God save, God save all of us (Somehow finally I do)
God save, God save all of us (Finally I know)
神様、神様が俺達を救ってくれるはず
神様、神様、俺達を救ってくれ
神様、神様、俺達を救ってくれ
神様、神様、俺達を救ってくれ
(遂に分かった)
(遂にやっと分かったんだ)

Not gonna waste my life
'cause I've been fucked up
'Cause it doesn't matter
So waste my time, and God save all of us
And the walls, they'll shatter
めちゃくちゃにされてたって
人生を無駄になんかするもんか
そんなの関係ないんだ
俺の邪魔をしてみろ
神様が俺達を救ってくれるはず
壁だってきっと砕け散る

And I won't let my insecurities
define who I am, I am
Not gonna waste my life
'cause I've been fucked up
'Cause it doesn't matter
もう不安に支配なんかさせない
俺を!俺という人間を!
めちゃくちゃにされてたって
人生を無駄になんかするもんか
そんなの関係ないんだ

Goodnight, everybody
See you tomorrow
I think we might be alright, you know
おやすみみんな
また明日
きっと俺達は大丈夫だよ

f:id:carcrashheart:20220918183530j:image

Domはこの曲の事を「このアルバムをまとめてくれてる安全ピンみたいなもんさ」と言っている。

アルバム全体が持つ「weirdのままで、ありのままの自分でいていい」というメッセージを色濃く示しているからか。

 

肝心のサビを訳すのが難しかった…

Not becauseとか、他の人は違うように訳してるけど、公式の解釈に則った。

あと最初にwasteしないのに次でwasteしてるから、命令形かなあとか… Godは単数系だからGod bless you的なやつかなとか…

 

このMVは初めて彼がディレクターを務めた。

見ていてなんか泣きそうになった。あんまり関係ないけど、昔の自分を思い出した。

中学生になって最初に貰った通知表。人生で初めてちゃんと成績をつけられるから、ドキドキして、でも開いたらほぼ全部5で。大喜びで帰宅して親に見せたら、一瞥された後、「まあまあだね」の一言で終わった。

震えたのを覚えてる。ビリビリに破ってしまおうかと咄嗟に思ったのも。

でも結局やらなかった。私は「良い子」だったので。それしかアイデンティティが無かったので。

でもあの時そうしていたら何か変わったかもしれないって、10年以上経った今でも考えてしまう。私もこんな風に、彼みたいに爆発出来たら良かった。

その最高の成績はただの基準値に、つまり0にされて、成績が下がる度に親にも教師にも「あなたはそんな人じゃないでしょう」と叱咤し続けられた。詰まるところ、私は3年間ほぼマイナスをやってる駄目な人間だった。

私の自己肯定感の低さだとか無価値感だとか、 息苦しいほどの完璧主義は、こういう類の経験から成り立ってるんだろうなと思う。

 

YouTubeのコメント欄も、「自分はこんな経験をして、こういうところに共感した」とか、「自殺しようとしてたけど、この曲に救われた」とか、個人的なメッセージで埋め尽くされている。

 

彼は「誰もが心の中にテディベアを持ってる。だから時々それを解放させたらいい」と言っている。

以下、彼の語るこの曲の持つメッセージ。

“This video is for anyone laying in their bedroom at 4am wondering why they aren’t good enough. I wanted to paint a picture of what depression really feels like, where everyone can be screaming at you, but you just can’t hear anything at all.

I wanted this video to ignite a resemblance or a spark of self-love to highlight the idea that if you ever feel like you can’t go on, it can get better.

you are brilliant, you are an individual and there has only ever been one you and there will only ever be one of you.”

(これは午前4時にベッドに横たわって「自分はなんて駄目なんだろ」って考えてる人に向けて作ったビデオ。

憂鬱がどんな感じか表現したかった。皆が君に向かって叫んでいても、君には何も届かないんだよね。

この作品を通して、自分を重ねてみたり、自分を大切にするヒントを見つけて欲しかった。もう耐えられないなんて感じる時も、物事はきっと良くなるって伝えたいから。

君は素晴らしい、一人の人間で、君一人しかいない。そしてこれからも皆の中の一人だよって)

NMEの記事

 

0点の解答用紙

久しぶりに人に読んでもらうことを前提とした文を、そして初めてブログっぽいブログを書いた。

TwitterTikTokのユーザーはリンクしなさそうだし、半ば焼け石に水をかけるような思いだったけど、2ワードで検索をかけたら早速上位に出て、意外と読んでもらえるのでは?と希望が湧いた。まずTwitterで既に90人の方が読んでくれたのでもうよかった。

 

言いたいこと≠伝えたいことだなあと改めて痛感した。

いつもみたいに足し算足し算足し算の文じゃ、ただただ合計が膨れ上がって、読み手がうまく呑み込んでくれない。何が言いたいのか結局伝えられない。折角良い事を書いててもそれじゃ勿体ない。

言いたいことから適度に引き算もして、丁度いい塩梅の合計を、伝えたいことを作らなくちゃならない。

 

説得力のある文章が好きだから、専門用語とか注釈とか引用とか使おうとしたけど、最近のブログみたいにしたかったから全部やめた。少しでも難しい内容だったらもう読んでくれなくなる気がした。読みにくいサイトの離脱率が大きいみたいに。

 

行き場の無くなったMC原文。

Cure For Me演奏前のMC

“It has a good feeling behind the song,

because I think it’s so important that we are allowed to be who we are.

In this world, it’s very easy to feel like you are not good enough, or like you are too strange or too different, and it’s very difficult to fit in and find a hope.

This song is for everyone out there who has felt this hatred in the world.

I love you so much, no matter who you are, and you are allowed, should be allowed to be just who you are, as a person, as a human. and allowed to love, you should be allowed to love, everyone to love.

I think it’s so important, because I believe love, a human right, and the equality of the human right.

So this song is for you, if you need it”

 

そう。昨年のスパソニのAURORAのアクト、録音してた。

AURORAはこの曲の前に絶対に何か言うと思ったし、自分もその場で100%理解できる自信が無かったから。

まさか1年後に役立つとは思わなかったけど。

 

私が思ってた事を書いてくれてるライターさんがいた。

総括 〜現代における巨大な音楽フェスティバルの存在について〜
 もちろん、アーティストが何かしらのメッセージをステージ上から発信することは数十年前から続いており、それ自体が珍しいわけではない。だが、時代の変化と共に、「ステージからメッセージを発信すること」の重要性が高まっていることは事実だろう。なぜなら、この時代において巨大な音楽フェスティバルは、その場所だけで完結するクローズドな空間ではないからだ。

 また、そこで発せられたメッセージは言語の壁をも簡単に超えていく。日本語で語られたリナ・サワヤマのメッセージが英語圏のメディアで報じられ、英語で語られたメーガン・ジー・スタリオンのメッセージが瞬く間に日本国内のSNSで話題となったのは、その内容に共感し、それを翻訳して一人でも多くの人々へ伝えようとするファン、あるいはコミュニティがいたからだ。

 つまり、巨大な音楽フェスティバルのステージに立つということは、世界中の人々に対してアピールする、メッセージを伝えられる場を持つことと同義であり、それは同時に大きな責任を伴うものである。現代のポップミュージックのメインストリームで活躍するアーティスト(と、それを支えるスタッフ)は、それを自覚し、その責任と正面から向き合っている。だからこそ、今年のサマソニはただの祝祭というだけではない、様々なメッセージに満ちた意義のある場所となっていたのだ。

 

そうなんだよ!!!

フェスのステージは何も演奏の為だけじゃなくて、アーティストの社会に向けたステイトメントの場であって、それを更に多くの人に届けられるのがSNSのメリット、そして果たすべき使命であって。

洋楽なんか尚更その場にいても理解できない人沢山いるし。

だからサマソニの録画録音の禁止は、この時代においてデメリットしかない。

大体、ただの建前でほとんど機能してないから、実質そのアクトを近くで見たいファン程撮れなくなってて理不尽だし、そもそも海外アーティストは人が撮ったものリポストしまくるし。てかこのライターも撮影されること前提で文書いてるし。

 

とりあえず苦手意識のあったですます調の文が自分にも書けることが分かってよかった。自信が付いた。

というか今度は今までの文章を読み返すと、支離滅裂さに拍車がかかって見えるようになってきた。怖い。もう二度と読みたくない。

アイドル見てピラミッドの上にいるとかふざけたこと書いてないで、もっとこんな感じの有益な文章を書くべきか… でもここでまた価値のある文ない文とか考えだすと死ぬのでやめよう。

 

でも記事を書いてて思った。

私もこの曲のメッセージ、全然受け取れてないな。

結局自分は、マイノリティでも、かといってマジョリティでもない、一人だけ外野から眺めてる気分だった。

「ありのままでいい」

その言葉と真剣に向き合ってみたら、なんか、そんな残酷なこと言わないで欲しいと思った。

そんなの透明人間になれって言われてるみたいだった。0点の解答用紙を見て「そのままでいいのよ」って言われてるみたいだった。

そのままで良いわけないだろ

こんなに何の価値も無い人間なのに、それでいい、それがあなただと言われた気がした。空っぽの器に他人からの評価や承認を入れて辛うじて人間を保ってるのに、それを否定された気がした。それを取り除いたら、私には何も残らないのに。

ありのままで?私は初めからなにでもなかった。ありのままを探そうにもどこにもいなかった。

私の歪み切った思考回路にはこの曲は手遅れだったことに気付いて泣いた。

 

私はコナーの“I don't wanna be myself, just wanna be someone else”を一生聴いてそうだ……

 

AURORAのCure For Meの歌詞に込められたメッセージとは?

ノルウェー出身のシンガーAURORAの曲、Cure For Me

MVのダンスがTikTokで「ペンギンダンス」として大バズりし、Skyというアプリゲームにおいても、彼女の楽曲やMVとのコラボレーションが話題になっています。

f:id:carcrashheart:20220906184937j:image

この曲は、何気なく聴いているだけだと分からないけれど、実は強烈なメッセージが込められています。

 

目次

 

歌詞の和訳

これはユニバーサルミュージックが公開してくれたので、公式YouTubeを是非チェックしてみて下さい。

重要な箇所にはこれから触れていきます。

 

来日公演で彼女が私達に言ったこと

AURORAは、昨年幕張で行われたフェスSuper Sonicに出演していました。

実は彼女は、2020年春にコロナが蔓延しだしてから約1年半の空白の後、1番最初に日本のステージに立った海外アーティストでした。

f:id:carcrashheart:20220906184636j:image

Cure For Meは当時新しく出たばかりの曲で、この時が3回目の披露だったそう。

「ちょっと緊張してるけど… 多分大丈夫!」

そう言った後、彼女は私達にこんなメッセージをくれました。

 

この曲には素敵な意味があるの

 

私は、私達がありのままでいられることは、とても大事だと思ってる

この世界で生きていると、自分には欠点があるとか変だとか、他の人との違いを気にしてしまって、自分の居場所を見つけたり、希望を持つのがすごく難しいよね。

この曲は、そんな生きづらさを感じてる人達のための曲」

 

私はどんなあなたでも愛しているし、あなたはただ、あなた自身でいることを許されるべき。一人の人間として、愛することを許されるべき。

それはとても大切なことだと思う。

だって私は愛を、私達に与えられた権利とその平等を、信じてるから

 

曲の背景にある出来事

では、そんなメッセージを持つこの曲は、どのようにして生まれたのでしょうか。

背景には、社会問題にもなっているコンバージョン・セラピー(Conversion Therapy、転向療法)と呼ばれる治療法があります。

これは、異性愛の人身体的性別と性自認が一致している人正常とみなして、その他の人を強引に「治す」ことを目的とした行為です。

古い価値観を持つ親が、今もなお世界中で、沢山の子供をこのセラピーに通わせています。

自分の存在を完全に否定されるこの「治療」には、効果があるどころか、多くの体験者が精神を病んだり、中には自殺する人も出ています。

彼女は「こんなのは間違ってる!」と思い、この曲を書きました。

 

英語の解説動画

 

彼女がサビで繰り返し歌う“I don’t need a cure for me”(私に治療なんかいらない)は、そんな意味を背景に持った歌詞です。

そして多くの人が何気なく踊っているであろうダンスの一部、首を横に振るパートは、「私達LGBTは、これが本当の自分。だから『治す』必要なんかない!やめて!」の、NO!の、意思表示です。

これは実は、社会の暴力に抵抗するポーズなのです。

 

そして前述の発言の通り、この曲を通して彼女は、マイノリティ、それからこの社会で生きづらさを抱えている全ての人達に向けて、

ありのままの自分でいていいの。あなたがあなたでいることは、何も間違ってないんだから

と、語りかけているのです。

 

そんな強烈な社会的メッセージを放つ曲なので、彼女のファンには、正直なところ、あのTikTokのブームを喜べなかった人が多いです。

 

TikTokのブームには問題があった?

TikTokでは、この曲のMVの彼女を真似たダンスが大ブームとなり、沢山の人が、 #ペンギンダンス というハッシュタグと共に、自身の踊った動画をあげていました。

(なお、ペンギンダンスは彼女が命名したものではありません)

フォロワー数が圧倒的に多い、所謂インフルエンサーの方達もおり、彼らが拡散力に拍車をかけたのではと思います。

 

現在の #ペンギンダンス の動画再生数

f:id:carcrashheart:20220906190121j:image

使用されているハッシュタグの数々

 

しかし、MVの踊りだけが「面白いダンス」として、一人歩き(というか大暴走)させられていく様には、曲本来の持つメッセージがかき消されていくような危うさを感じました。

 

こういった出来事は、過去にも数多くありました。

有名な例えをあげると、海外セレブのキム・カーダシアンが発表した下着のブランド、Kimono

彼女は私達の伝統衣装である着物(Kimono)を見て、「服の名前に自分の名前入ってんじゃん!これブランド名に使おう!」と思い、この言葉を安直に切り抜きました。

最終的には京都市長までもが抗議する事態となり、彼女は使用を断念しましたが、もしもそのまま使われていたら。沢山の人の手に彼女のブランドの商品が渡っていったら。

今頃Kimonoという言葉は「下着」という新しいイメージで、世界に浸透していたかもしれません。

 

社会批判ソング、そしてマイノリティの人達へ向けた応援ソングであるこのCure For MeのMVを見て、「このダンス面白いじゃん!」と思って、ダンスだけを切り抜き、「ペンギンダンス」と新しく名付けて広める。

インフルエンサー達によってこの曲が、AURORAを知らないような人々の中にも、「ペンギンダンスの曲」として浸透していく。

このブームは、Kimonoと同様に、一種の暴力性を孕んでいるように思えました。

 

なぜ私がKimonoの例を挙げたかというと、インフルエンサーの方達はこの例の中のキム・カーダシアンであり、それと対照的に彼女のファンの多くは、曲の歌詞が向けられているように、社会的に大きな声を持たないマイノリティだからです。

 

AURORAは、この曲Cure For Meの他にも、社会的なメッセージを持つ曲を沢山書いていて、マイノリティに向けて「私があなた達のために自由な国を作ったから、一緒に住みましょう」と語りかける曲(Queendom)も出しています。

彼女のファンは、今や彼女を中心として、一つのコミュニティを形成しています。

 

私達が着物という文化を危うく潰されかけたように、彼女のファンの人達は、このTikTokのブームによって、自らが拠り所にしている、コミュニティの一部である、この曲Cure For Meを失いかけていました。

その事実を一人でも真剣に受け止めてくれる方がいたら、私は嬉しいです。

 

まとめ

というわけで私は、この曲が本来持つ意味を、TikTokのブームを楽しんでいた少しでも多くの人達に知ってもらえたらという思いで、この文章を書きました。

人が作り上げたものの表面(名前や見た目)だけを貰うのはとても簡単だし、誰にでもできます。だからこそ、これだけ凄まじい勢いでバズったのだと思います。

でも一歩立ち止まって、その中身(それの持つ意味や本質)まで注意を向けてみて欲しいです。

そして実はそれはとても大切に作られていて、それを貰って大切にしている人達がいるということに、気づいてもらえたら嬉しいです。

洋楽には他にも素敵なメッセージを持つ曲が沢山あります。ぜひ皆さんの身近にある曲から、その歌詞に注目してみてください。

 

そんな彼女は、「この曲はいつも書く曲と違って、とても楽しい曲にしたの!」と言っています。

ダンスのレクチャー動画まで出しています。

この曲の持つ意味を受け取ってくれたのなら、私達ファンと一緒に踊りましょう!

 

結論として私は、

Cure For Meの歌詞に込められた想いを知ってほしい!
TikTokのブームを喜べなかったファンの人へ向けて、その気持ちは間違ってないよ!

…と言いたいです。以上!

 

素敵なインタビュー記事

 

AURORAドールを作った話

 

【和訳】Psychotic Kids / YUNGBLUD

子供の鬱やメンタルヘルスの不調に、大人が理解を示さないことを皮肉った曲。

彼自身の実体験を元にして書いてるそう。

Psychotic Kids

I see pictures in my head
A world where the suffering's dead
And they can't fight or unjustly arrest
Anybody for the color of their body
頭の中にイメージがあるんだ
苦しみがない世界の
それから戦うことも
肌の色で不当に人を
捕まえることもない

Psychotic kids,
they don't know what they want
Psychotic kids,
we've got to keep control of them
精神病の子供達
彼らは何が欲しいのか分かってない
精神病の子供達
私達大人が管理してあげなくちゃ

Drop a hairdryer into my bath
Shocks like that make me laugh
It's fun to laugh when you're sad
Be happy, come on, let me be happy
ドライヤーを風呂の中に落っことして
笑っちゃうみたいな 一撃が走る
悲しい時に笑うのは楽しいな
ハッピーになれよ なあ
俺をハッピーにしてよ

Why do you wanna go turn back time?
Come and take a ride in my psychotic mind
Why do you wanna go turn back time?
Come and take a ride in my psychotic mind
なんで昔に戻りたいんだ?
俺の病んでる心の中に入ってこいよ
なんで昔に戻りたいんだ?
俺の病んでる心の中に入ってこいよ

Why do you wanna go turn back time?
Come and take a ride in my psychotic mind
Why do you wanna go turn back time?
Why do you wanna go turn back time?
なんで昔に戻りたいんだ?
俺の病んでる心の中に入ってこいよ
なんで昔に戻りたいんだ?
なんで昔に戻りたいんだ?

Psychotic kids,
they don't know what they want
Psychotic kids,
we've got to keep control of them
Psychotic kids,
they don't know what they want
Psychotic kids,
we've got to keep control of them
精神病の子供達
彼らは何が欲しいのか分かってない
精神病の子供達
私達大人が管理してあげなくちゃ

My mum thinks I'm on heroin
And my dad just thinks I'm gone
But they don't know fucking anything
Say “youth is wasted on the young”
母親は俺がヘロインやってると思ってるし
父親は俺がもう死んだと思ってる
何一つ理解してないでこう言うんだ
「若さの無駄遣いだな」

My mum thinks I'm on heroin
And my dad just thinks I'm gone
But they don't know fucking anything
Say “youth is wasted on the young”
母親は俺がヘロインやってると思ってるし
父親は俺がもう死んだと思ってる
何一つ理解してないでこう言うんだ
「若さの無駄遣いだな」

Wasted on the young
Wasted on the young
Wasted on the young
Wasted on the young
若さの無駄遣い
若さの無駄遣い

Psychotic kids,
they don't know what they want
(What they want)
Psychotic kids,
we've got to keep control of them
(Control them)
Psychotic kids,
they don't know what they want
(What they want)
Psychotic kids,
we've got to keep control of them
(Control them)
We've got to keep control of them
We've got to keep control of them
Psychotic kids,
they don't know what they want
精神病の子供達
彼らは何が欲しいのか分かってない
精神病の子供達
私達大人が管理してあげなくちゃ
私達大人が管理してあげなくちゃ
精神病の子供達
彼らは何が欲しいのか分かってない

"It's fun to laugh when you're sad
Be happy, come on, let me be happy"

とかは多分、大人が子供の訴えに真剣に耳を傾けようとしないで、ただ笑わせようとしたり、ポジティブになるように促す、くそ腹立つやつ。

彼、この他にも「風呂にトースター投げ込んで感電死したら、産まなきゃよかった息子が死んでるの見て両親が笑ってる」(parents)とか、エグい歌詞めっちゃ書いてるのがうける。今現在、両親との仲は特に問題なさそうです。(あとめちゃ可愛い妹がいる)

 

サマソニで初来日を果たしたYUNGBLUD。

遂に彼のライブを見れた。

なんだか偉そうに聞こえるかもしれないこと書いたけど、もどかしいのは何も誰かに向けてだけじゃない。私自身にとってもそう。

英語はまだまだ駄目だから、洋楽は軽く聞き流している程度だと、歌詞が頭に入ってこない。大切なメッセージを聞き逃してないか、常にフラストレーションが溜まる。

私はあまり物を持ちたくないから完全にストリーミング派だけど、昔のようにCDをセットして、和英の歌詞カードを照らし合わせながら、その曲と向き合う時間を持たなくなったことは、反省しないとだなあと思う。

もっとも、ここ近年国内盤(和訳)が出るアーティストすら減ってきる気がするけど。

この1stも出てないんじゃないか?洋楽市場が縮小してないか心配。

 

【ライブレポ】SUMMER SONIC 2022 DAY2

DAY1はこちら

 

サマソニDAY2。

 

なんとか7時に起きれた。

というより、お馴染みの中途覚醒の嵐で殆ど寝れなかった。大丈夫か自分。

7時にモニコしてって言い残して寝たら、本当にぴったりにしてくれてびっくりした。日曜の朝7時に。一緒に来てくれなくて薄情だとか思ったことに罪悪感が湧いた。ごめん。

Twitterでおすすめされてた、イベントを乗り越えられるとかいうQ&PコーワGOLDを買っておいたので、藁にも縋る気持ちで飲んだ。

再び昨日の舞台、そして本日の戦地へ

 

客層が明らかに昨日と違って戦慄した。

お洒落な夏フェスギャルから、気合の入ったバンドTシャツのキッズへと。

これはうかうかしてらんないな… 覚悟を決めてスタジアムの中へ。

 

BE:FIRST

アイドルって、顔が良くて踊れて歌も歌えないといけないから、人間としてレベル高すぎじゃないか。

明らかにピラミッドで自分より上の階層にいると思った。ピラミッドじゃ食われるのか。

 

MCがかっこよかった。

うろ覚えだけど、「世界中で様々なことが起こっている今、明日、いや一時間後、いや次の瞬間には、僕達もここにいる皆さんも、全員存在しなくなってしまうかもしれない。そんなことを噛みしめながら、今この瞬間に全力で音楽を届けられたらと思います」といったような言葉。

前日の某ロックバンド達のしょうもなさに陰鬱とした気持ちを抱いていたから、尚更心に響いた。単純だから、なんならもう彼らが日本のアーティストのヘッドライナーでいいじゃんとまで思った。

あと外国人のオーディエンスも考慮してか、英語も喋ってた。

なんだ、日本には、悪ふざけとか失笑とか、そういうので茶化さずに、真剣に英語を喋ろうとするアーティストがいるんじゃない。

ねえ、外国人の日本語の発音を嗤うことは、そういう人達が外国人から嗤われるのを肯定する事になりうるんだよ。なんでそういう事を考えられないんだろ。

 

ファン層がはっきりと分かれるから、最前列を狙うにはこの後しかないと思った。

終わった途端、出口へ向かう群れの中を逆流して突き進んで、柵に飛びついた。やった。取った。取れてしまった。

 

最後にライブを最前で見たのはいつだっけ。2018年のレディングのNothing But Thievesか。違う、2019年のAURORAだ。

でもこんなに長く目当てのアクトを待ち続けるのは人生初かも。

一緒に前を狙っていた友達とは合流できなかったけど、彼女も最前を取れたことが分かって一旦安堵した。

でも、今年になって前触れもなく気を失いそうになったり、通勤中に何度も途中下車したり、自分の体調に全く自信が無くなってたから、このまま彼まで待てるのか物凄く不安だった。

自分の背後に何百という大群が、強固な壁となって押し寄せている事実が恐怖だった。

多分ここ数年で一番緊張した。

 

The Oral Cigarettes

かっこよかった。

あとボーカルが凄いイケメンだった。こんな近くで見れてしまってごめんなさいとか思った。

軽率にヘドバンを煽るので、数年ぶりにめちゃくちゃしてしまった。

MCで、2019年にサマソニThe 1975を見た時、Mattyの事を「あまりに凄すぎて、この人、明日消えてしまうんじゃないか…って怖くなった」と言ってた。めちゃくちゃ分かるじゃん。それに触発されて、自分も彼と同じステージに立つミュージシャンであろうと決意したとか。

終わった後に背後の男性が「すっげー良かった、後であのアーティストチェックしよ…」とテンプレみたいな発言をしてて、心の中で私も同意した。

 

The Struts

f:id:carcrashheart:20220827193218j:image

ボーカルLukeは安定のエンターテイナー。

もう、楽しすぎる。彼らの音楽で体が動かない人なんて絶対にいない。踊りまくった。

前回サマソニで彼らとKeshaを見た年に両者がコラボ曲を出して、もっと前に出してくれたら奇跡の共演あったかもじゃん~ と悔しくなった。そんな大好きなBody Talksを、勿論Keshaパートも彼だけど、2曲目に早速やってくれて、テンションぶち上がりだった。

彼のカリスマ性と、それでいて合わせ持つ、どこか安心する温かさ。

お馴染みのQueenのフレディばりのコール&レスポンスで、オーディエンスが一つになった気がした。

彼らがこの日のマリンステージに、最初に火をつけた。

 

f:id:carcrashheart:20220827193253j:image

完全に撮影タイムを設けてくれるサービス精神よ…

ドラムのGethinの投げたスティックが私めがけて降ってきて、私の手にぶつかって弾けて、後ろに消えてった。

まあ、投げられた物を掴めるような運動神経は備わっていないので、ダメージゼロ。

 

YUNGBLUD

コロナで潰れた幻の来日公演から2年、ついに待望の初来日を果たした。

2年前にやけくそで書いた疑似ライブレポ

 

彼が大阪でやらかしたせいで、気づいたらセキュリティが2,3人増員されてた。私の目の前にも。完全に警戒されてんじゃん。どうしてくれんだ。

 

そしてYUNGBLUDことDomが、勢いよくステージに飛び込んできた。

のっけからドタバタとステージを駆けずり回って、一瞬にして、ピリピリとした空気を、笑っちゃうくらい完璧にぶち壊した。

よく見たら来た時から血流してるし…

私達の歓声は落ち着く間もなく、皆強引に、彼の音楽に引きずり込まれた。

 

1曲目はstrawberry lipstick

わお、今まで画面の向こうで暴れてた音楽が、手に触れられるところにある。

彼の歌声に合わせて空間が揺れた。亀裂が入って飛び散った。降ってきた破片が全身に突き刺さった。

この感覚だ。恋しかった。私は彼の音楽と一体化してる。ライブ音楽が、遂に私の中まで戻ってきた…!

いきなりお約束のギターのAdamとのキスが見れた。

 

それからThe Funeral

「自分の葬式でダンスしてんのさ」という歌詞よろしく、彼はステージ上で大暴走。

そしてステージの端から降りてきて、突風の如く私の前を走り抜けた時、手には友達が用意した大きな国旗を持っていた。

思わずやったーと歓声を上げた。

 

定番のI Love You, Will You Marry Me

初めて彼のライブ動画を見たのがこの曲だったと思う。

衝撃的だった。なんかもう、暴れ回りたいのに口に磁石が入ってて辛うじてマイクにくっついてるみたいな、そう表現するしかない気がした。

今日も安定して元気に狂ってた。大声で一緒に歌った。もう楽しくて仕方がなかった。

 

初来日に思えないほど、日本のオーディエンスを楽しませようと頑張ってるのを凄く感じて、更に彼が好きになった。

歌詞は無理して歌わせないで、メロディーのシンガロングや掛け声を求めて盛り上げようとしたり。わざわざローマ字で日本語をメモして用意してたり。

ありがとうの発音も綺麗だった。

多分だけど、jumpはjanpuって覚えてたんじゃないかな?「ジャンプウー」って言ってて、初め皆きょとんとしてしまった。かわいいなーもう。

 

それからモッシュピット

彼が何であれほどモッシュピットに執着してたのかさっぱり分からんけど、あの強引さと愛嬌で、ファンじゃないオーディエンスの心をも、がっつりと掴んでしまったに違いない。

 

どんだけ体力あるんだこの人。声の出し方だって、喉に凄いダメージありそうなのに。

初来日にしてマリンステージを選んでくれて良かったと思う。メッセじゃ彼の爆発に耐えきれなかっただろうから。

 

そしてコール&レスポンス

The Strutsのお手本みたいなやつの後に同じことやるんか… 思わず比較してしまうし、めちゃくちゃガサツなそれが、逆にもう愛おしかった。

 

彼と常に行動を共にしているカメラマンのTomも勿論いて、スマホとカメラを手に、彼とオーディエンスを舐めるように動きながら、ステージを駆け回って写真と動画を撮っていた。

彼の仕事を間近で見れて感激した。彼に撮られることを光栄にすら思った。公式のインスタストーリーに一度がっつり映ってた。

絶えず動き回るDomの一瞬一瞬を捉えられる彼もまた、「YUNGBLUD」を作るのに欠かせない存在だと思う。

 

社会問題に訴えかける曲が沢山ありながら、それでいて彼の書く歌詞はなんか、等身大というか、剥き出しで、だからこそ私達のすぐ傍にいるように思える。

parentsの歌詞なんかは、

「父親が男にキスしたら
撃ち殺してやるって言うから
縛り付けて小屋に閉じ込めて、
庭で親友とセックスしてやった

時代遅れな奴ら
両親がいつも正しいなんてことないんだ」

 

彼のライブはLGBTを始めとするマイノリティのコミュニティみたいな存在で、親と一緒に来た子が彼に頼んでステージに乗せてもらい、彼に肩を抱かれながらカミングアウトするなんて事もある。

 

私は昨年のスパソニのAURORAの時のレインボーフラッグを持って行って振ってた。

彼が初来日の、この1時間足らずのショーで、その話題に触れることなんかは全く期待してなかったけど。(というか、終始お祭り騒ぎだった気がする)

ただ最近はもう、自分の全てに自信が無いから分からない。自分がこの旗を振ってていいのか分からない。

私が求めていた「恋人」は、ただどんな話をしても受け入れてくれる、存在を迷惑がられる心配がないという「保証」がある人、それだけに過ぎないから、自分が何なのか分からない。はっきり自覚できている人が羨ましいとすら思う。

 

外国の曲はいくらメッセージ性を持つ歌詞でも、言語の壁があって伝わりにくいから、なかなかその価値観が輸入されてこない。

だから少しでも、そんな曲の歌詞を多くの人に知ってもらえたら… なんて思って翻訳したりとかしてる。

こういうフェスではきっと、多くのオーディエンスにとって、AURORAは「可愛い」、YUNGBLUDは「楽しい」で終わってしまう。それが凄くもどかしい。

それでもレインボーフラッグの意味は流石の日本にも浸透してるだろうから、私がこれを振ってることで、このアーティストはLGBTをサポートしている、これについてメッセージを発信しているアーティストなんだよって、少しでも、誰かに、気づいてもらえたら、という、エゴ…………

 

まるで台風のようなYUNGBLUDのショーは、一瞬にして終わった。

最後にLonerのコーラスでもって、あれだけ暴れさせといた群衆を、これまた強引に一つにまとめ上げてしまった。本当に最強だった。

歌い続けるオーディエンスを残して、彼は入場時と同じように、颯爽とステージを駆けて去っていった。

 

そして私のサマソニも終わった。

 

《セットリスト》

strawberry lipstick 
parents
superdeadfriends
The Funeral
I Love You, Will You Marry Me
fleabag
I Think I'm OKAY
Loner

 

フェスなんかじゃ全然足りなかった。

もっとやってほしい曲が山のようにあった。

改めて、2年前の彼の単独公演を中止させたコロナを恨めしく思った。

 

彼がビデオをあげてた。

面白すぎて永遠に見てしまう。

 

この後も一応見る予定のアーティストはあったけど、ライブでお馴染みの友人達と久々に再会して、一緒にご飯を食べて、盛り上がって、めちゃくちゃ楽しくて、なんかもう、完全に満たされてしまった

やっぱり終わった後に感想や興奮を語り合える人がいるのは嬉しい 。

 

そして私はそのまま、帰った

…いや、突然用事が出来たので。後日談として書くかもしれない。

 

 

翌日、ワンオクのtakaの声出し煽りが炎上して、YUNGBLUDにまで火の粉が降りかかってきてた。

でもなんだか、全てが見当違いに思える。

私が他に見た全ての海外アーティストの言動も鑑みるに、絶対に運営側、海外アーティストに注意勧告してないだろ

いや、サマソニ側に文句なんか決して言わない。

続々と復活してきたこれからの海外アーティストの個々の来日公演でも、運営は彼らに規律を求めないのではないかと思う。

 

海外のライブのアーティストオーディエンスの一体感は、その為にあるのがライブなんだと言わんばかりに凄まじいものがあるし、彼らにとって、オーディエンスが沈黙するライブなんか、想像したこともないくらい、ありえないものなんじゃないか。

先日のBillie Eilishのライブも、静かだねと本人に言われてしまっていた。

 

私自身も、ライブで歓声を禁止するのは、呼吸を止めろと言うくらい、理不尽なことだと思ってる。それを禁止するならライブもまだ禁止していたらいいとすら思う。

世界の反対側から来て、私達を楽しませようと頑張ってくれてるアーティスト達を前にして、我慢出来る出来ないとか以前に、無反応だなんて失礼なこと、私達はするべきじゃないだろ。

 

ライブで上がる声はただの興奮(それだって抑制されうるものじゃないけれど)だけじゃない。

アーティストへの歓迎であるし、RinaのMCで声が上がったように、アーティストのステイトメントへの賛同の証や、リスペクトだったりもする。

 

私はDomに静かなオーディエンスなんて絶対に見せたくなかったし、結果的に彼が日本を好きになってくれて凄く嬉しい。

まあ彼自身は今現在に至るまで、自分がサマソニに投下された最大の爆弾になってた事に多分気づいてないのが、めちゃくちゃ面白いけど。

今回のサマソニは本当に胸がすく思いだったし、昨年のスパソニと比べて何百倍も楽しめた。ありがとうSUMMER SONIC

 

こんな支離滅裂な文章を最後まで読んでくれたのなら、お口直しに素晴らしい文章を読んで、サマソニからの真のメッセージを受け取ってほしい。

 

【ライブレポ】SUMMER SONIC 2022 DAY1

私の夏が終わった。

サマソニ 2days。

 

2日とも行くのはこれが初めてだった。

でも最初にラインナップが発表されてからすぐに購入した。というのも、この数年で洋楽アーティストのライブを見れることは、ひいてはライブそのものが行われることすら、当たり前じゃないと、痛切に感じたので。

これからは見たいアーティストは見れるうちに見なくてはと思う。

 

アーティストへの思い入れによって文章量にめちゃくちゃ差があるし、例の如く話題がしょっちゅう逸脱してあらぬ方向へ暴走してるけど、まあ所詮全部ただの独り言なので。

 

昨年のスパソニと違って最初にマウンテンステージを見るから、ゆるくスタートできるかと思いきや、2daysチケットの人はマリンの入り口にリストバンド引換所があるのが発覚。

え、時間無いじゃん。駆け足でスタジアム前まで向かった。

 

SUMMER SONIC 2022

ゲートの写真、ろくにちゃんと撮ってなかった…

踵を返し、メッセまで逆走する頃には、もう既にダラダラと汗をかいていた。

それでも最初のお目当てには辛うじて間にあった。

 

The Linda Lindas

言わずもがな、インスタで爆発的にバズった差別をぶっ壊す曲、Racist, Sexist Boyで知ったバンド。

ギタリストのBela曰く、授業中にスマホの通知がけたたましく鳴り出して、教師や周りの生徒、彼女本人も、一体全体何が起こってるんだと戦慄したとかなんとか。

 

いやもう、かっこよすぎる。

ステージ上の彼女達は完全なるロックバンドだった。

若い才能は、年齢が低ければ低いほどそれが価値になって、持て囃されるのが世の常だけど、あまりに堂々とした出で立ちには、そんな付加価値の事など完全に忘れてしまう。

それから私はメンバー全員が歌うバンドが好きで、とりわけ彼女達の曲は、4人の各々の歌声の違いで、曲毎に個性が溢れてて大好きだった。

でもこんなに大勢の前で演奏するのは初めてだったみたいで、オーディエンスにウェーブを作らせてはしゃいでいたのが、凄く可愛かった。

 

あと背景のスクリーン映像もイカしてた。コスチュームも。

バックに有能なクリエイター達がついているんだろうなあ。

でもそれは大人が勝手に舞台を用意して彼女達を動かすのではなく、あくまでも彼女達自身の持つ才能や個性を最大限に引きだそうという、そんな意気込みを勝手に感じてる。

彼女達の描いたイラストをアニメーションにしたりとか。

凄くいい。理想の形すぎて羨ましい。このまま最高を作り出してほしい。

 

ライブでやらないけども、彼女達はRacist, Sexist Boyの他にも「選挙に投票に行け!声を出さなきゃ聴いてもらうことすらできない」なんて曲(Vote)も書いてて、「自分達も18歳になったらそっちに行くから」 で締め括ってるのが、本当に強すぎて好き。

 

「最後の曲何やるか言ったっけ?」とLuciaが言って、さらっとTHE BLUE HEARTSリンダリンダをやると発言。

朝で比較的静かだった群衆が、思わずどよめいた。

初来日にして、彼女たちはオーディエンスに心から歓迎を受けたと思う。また来て欲しい。

 

Beabadoobee

可愛い。可愛すぎる。

彼女のふわふわした歌声に凄く癒された。

 

サポートのベースのElianaもめちゃくちゃタイプだったので、当たり前だけど、一緒にここにいる…!という感動が凄かった。

なんか、そういうの無い?

アーティスト自身が来るのはまあ当然として、彼女の世界を構築してるバックバンドのお馴染みの顔ぶれが平然と揃ってるのを見ると、ちゃんと「本物」がやって来た…!感が凄い。私だけか。

というか今回、レーベルDirty Hitから3組も来てるの、救いすぎる。

 

再びマウンテンに戻ってお昼を食べた後は、

All Time Low

うーん、やっぱり特別。

1曲目のLost in Stereoを浴びた瞬間、彼らの音楽の中に埋まっていた私の一部と再会を果たした気がした。

彼らは私が初めてライブに行った洋楽バンドだった。2012年、10年前。だからこれは、私と彼らの10周年記念ライブ

 

高校時代、洋楽を齧り出して間もない頃に出会った。でもそれまで音楽には深くハマったことはなかったし、CDを買ったことすらなかった。

部活で人生初めて(手伝いという名の)単発バイトをした帰り道、偶然タワレコを見つけて、一時間うんうん唸って迷って悩んで、それからバイト代全部使って買ったのがアルバムNothing Personal(とマイケミThree Cheers for Sweet Revenge)。

当時はまだ英語の歌詞なんか何も分からなかったし、飽きたらどうしようと思った。

でもどうせお前が年老いた頃には絶対聴いてないし、今好きならそれでいいんだよ!そう結論づけて買った。

10年前の自分に言いたい。少なくとも10年後のお前も彼らが好きだよ。あれからの10年間で、本当に沢山の音楽を好きになれたよ。

 

スクリーンに2ndアルバムSo Wrong, It's Rightのジャケ画が出てきて感激した。

でもここ最近は基本的に、新譜からと売れ出した3rd辺りのお馴染み曲からピックアップというセトリ構成で、一番ファンガールしてた頃の4~6thアルバムから完全にやらなくなってしまったのが凄く悲しい。

 

ふと、お友達の漫画の中のストーリーを思い出した。

The Crack Hearts

イギリスの架空のロックバンドの成長物語だけど、バンドのあるあるネタとかが沢山練りこまれてて、凄くリアルで楽しい。

ぜひ読んでみて欲しい。(良いものは軽率に紹介するスタイル)

ちょうど彼女と一緒に見ていたのもあって、とりわけバンドのあれこれを考えたりした。

 

10年以上前に自分が書いた歌詞で毎回クライマックスを飾らなければいけないのは、どんな感じなんだろう。そりゃ盛り上がるだろうけど。

人は変わるものだし、私なんかは、過去に作ったものはどんどん稚拙に思えてくるから、そんなの絶対耐えられない。

出演キャンセルした某バンドもそう揶揄されてたけど、バンド自体が懐メロ扱いされるのも辛い。

 

歳と共に?曲のBPMが段々下がっていくのも面白いバンドあるあるな気がするけど、対照的にAlexの伸びやかな歌声が際立って、エモーショナルな曲が増えた気がする。Monstersも凄く良かった。

 

彼らを観るのはこれが7回目。初めてのライブは演奏の合間にAlexからピックを手渡しされた。でも4回目以降とかはもう、メンバーそっちのけでモッシュピットで踊りまくってた。

モッシュピット、恋しい。なんか翌日に某アーティストが作ってたらしいけど。

早く自由に踊り狂える世界に戻ってほしい。

 

Maneskin

伝説の日本上陸。

なんかもう、このショーを明るい時間帯に観ていることがちぐはぐに思えた。

破壊力が凄まじかった。

 

特にBeggin'

先月初めてフィギュアスケートのショーを見に行った。

レザージャケット姿の大勢のオリンピック選手が入場してきて、一曲目のダンスに使用されていた曲で、めちゃくちゃかっこよかった。

その曲を今度は生演奏で聴けるなんて、あまりにも贅沢すぎた。

 

Victoriaがかっこよすぎた。

これは、「女性が一人いるバンド」じゃない。ものすごく暴力的に実感させられた。目を覚ませと冷水を全身にぶっかけられるみたいな。

 

炎上してた次の某バンドの言動は、何が問題なのか丁寧に説明してくれてる人がいたし、私が改めて語るまでもないけれど。

もう一件も含めて、「彼らは他にも尊敬してるアーティストの事をああやっていじってるから」「いつもあのノリだから」という類の擁護を見て、なんだかセクハラしてる人、虐めてる人が「可愛がってるだけだよ」って、軽薄な口調で正当化させるやつを思い出した。

そうじゃないんだよな。全く噛み合ってないんだよな。私達はこのフラストレーションとどう戦ったらいいだろう。

 

でも私も分からない。私も彼女を見てめちゃくちゃ綺麗な身体してると思った。

こういう感情は間違ってるんだろうか。これも一種の性的消費なんだろうか。いや、彼女自身の魅力に取り憑かれたのであって、そうであって欲しくない。

性差別は難しい。自分が被害者であったことすら、何年も経ってから気づいたりする。

最近は社会問題について、いつも立ち止まって考えることにしてる。

考えることは疲れる。でもやめてはいけないとも思う。考えずに済んでしまうことも、ある種の特権だと思うから。

 

King Gnu

マネスキン以降はもうスタジアムで見ようと思ってたけど、魔が差してアリーナまで降りてしまった。そんなわけで端から。

ボーカルのファルセットと地声の切り替えが凄く上手くて綺麗だった。

 

ボーカルの言葉に促されて振り返ったら、スタンドに明かりが灯っていて綺麗だった。

 

The 1975

本日の本命。ついに彼らを観れた。

1週間以上も早く日本に来てしまうもんだから、日本でコロナにでもなったらどうしてくれんだと気が気じゃなかった。

 

King Gnu終了後、前の方の大群が一斉にはけて、考えるよりも先にどんどんと前に流れていって、身を任せていたら、期待以上に前に来れてしまった。

中央のマイクスタンドを見て、え、もしかして肉眼でMattyの全身見れんの…?と面食らった。

 

ステージにメンバーが現れた途端、その世界観に惚れた。

新譜のコンセプトらしいスタイルがかっこよすぎた。モノクロの、でも初期の時とは違う、何だかクラシックな感じ?

でもそれ絶対暑いでしょ… と出てきた瞬間に思ったけど。

 

私にとって初めてのThe 1975のライブだったから、彼のグレイテスト・ヒッツな感じで行くからという発言に歓喜した。まさに彼らのライブ初心者の私に、おあつらえむきのショーじゃん。

コロナ後初のステージだったから、全世界が注目していたに違いない。そんな一瞬を味わってしまって良いのか。もはや恐縮した。

 

なんて心地がいいんだろ。

彼らのふわふわした音楽に全身を包まれてる… それだけで夢みたいに思えた。モノクロの夢の中を漂っているような気分だった。

 

TOOTIMETOOTIMETOOTIMEは、みんなで指で数字を作りながら踊った。

まあ彼らは全く意図してないだろうけど、英語が歌えなくても、皆で一体感を作れる曲があるのは凄く楽しい。

 

Matty自身もとても楽しそうに踊ってた。

めちゃくちゃ当たり前で、馬鹿みたいなことを書くけれど、Londonで踊ってたgirl in redMarieを見た時にも感じた、その音楽を作った人達と、その場で、その同じ音楽を共有している、一緒にそれを楽しんでる、この瞬間を、何よりも幸福に感じた。

 

が、一変してPeopleなんかは感情を叩きつけるみたいに、狂ったように歌っていて、改めて彼らの音楽性の幅広さと、それらを全て表現しきってしまう彼のカリスマ性にやられた。

 

大好きだったI always wanna die (sometimes)を遂に一緒に歌えた。

私達のさざ波のような歌声と、はためくイギリス国旗がとてもエモーショナルだった。

 

The Soundでいつも終わるから、あれ、もう終わり?早くない? と思いきや、やらないかと思ってた大好きなGive Yourself a Tryを、最後の最後にやってくれた。

幸せなリズムに全身を委ねて踊った。

 

「10歳年下のファンが自殺した
彼女が憧れてた25歳の僕は
外に出ることすら怖がってた」

 

私にはMattyはロックスターに見えない。

不安定で、傷つきやすくて、スポットライトの下で、ひたすら必死に生きている、同世代の人。

もう今は、皆が何かを彼らから求めていて、いや、社会が求めてるだろう何かを、その何かを、彼は必死に形にしている。

でもだからこそ私は、彼を本当に本当に素晴らしい人間だと思う。

 

「挑戦してみなよ。挑戦してみるんだ」

自分自身に言い聞かせているかのようなこのセリフは、彼の歌声も相まって、すごく優しかった。

 

《セットリスト》

If You're Too Shy (Let Me Know)
Love Me
Chocolate
Me & You Together Song
TOOTIMETOOTIMETOOTIME
It's Not Living (If It's Not With You)
Paris
Happiness
Robbers
A Change of Heart
I'm in Love With You
Somebody Else
Love It If We Made It
People
I Always Wanna Die (Sometimes)
The Sound
Sex
Give Yourself a Try

 

もう、The 1975の時点でチケット2日の価値があった。やった。明日は無料だ。

でも折角彼らが男女のアーティスト数を平等にしてくれたのに、女性アーティストをあまり見なかったのが心残り。

強烈なメッセージを放った女性アーティストも多くいたよう。Rina Sawayamaも見たかった。かっこいいMCの動画に痺れた。来年の単独行こうかな。

 

カップルとかで来てる人が沢山いて羨ましかった…

自分の音楽の趣味が全てリンクして、全部に付き合ってくれる彼氏、どこに落ちてるの…(興味ないアーティストに3万は出せないとにべもなく断られた)

でも、私はどうせ相手が楽しんでるかどうか常に気にしてしまうだろうから、これとこれが好き!あ、それ一緒だね!じゃあその時会おっか!みたいなスタイルも、悪くないと思った。

 

あと、普段日本社会のどこに潜んでんの… と思うほど、タトゥーの入った人が沢山いた。

私もどんな歌詞を入れるかとかうだうだ悩んでないで、勢いでカエルのタトゥーとか入れてしまいたい。

 

ホテルへの道すがら、夕食をどうしようかと考えていたら、なんとフォロワーさんご夫妻と遭遇した。

そのまま夕食に誘っていただいた。

ライブとかフェスとか、人めちゃくちゃ多いのに、何故か誰かしらと偶然再会できるんだよな… 不思議なところ。

 

海外旅行を1週間前に計画する人間が、チケット購入と共に幕張にホテルを取ってるなんてありえなかったから、もう近くのホテルは全然空いてなくて、都内まで戻った。

ホテルに着く頃には0時を過ぎていた。

でも翌日は早起きして、その日の本命アクト、YUNGBLUDの為に朝からマリンに籠る。

 

果たして近くで彼を見れるのか。そもそもちゃんと起きれるのか。

挑戦の結果はいかに。

 

DAY2に続く