私の夏が終わった。
サマソニ 2days。
2日とも行くのはこれが初めてだった。
でも最初にラインナップが発表されてからすぐに購入した。というのも、この数年で洋楽アーティストのライブを見れることは、ひいてはライブそのものが行われることすら、当たり前じゃないと、痛切に感じたので。
これからは見たいアーティストは見れるうちに見なくてはと思う。
アーティストへの思い入れによって文章量にめちゃくちゃ差があるし、例の如く話題がしょっちゅう逸脱してあらぬ方向へ暴走してるけど、まあ所詮全部ただの独り言なので。
昨年のスパソニと違って最初にマウンテンステージを見るから、ゆるくスタートできるかと思いきや、2daysチケットの人はマリンの入り口にリストバンド引換所があるのが発覚。
え、時間無いじゃん。駆け足でスタジアム前まで向かった。
SUMMER SONIC 2022
ゲートの写真、ろくにちゃんと撮ってなかった…
踵を返し、メッセまで逆走する頃には、もう既にダラダラと汗をかいていた。
それでも最初のお目当てには辛うじて間にあった。
The Linda Lindas
言わずもがな、インスタで爆発的にバズった差別をぶっ壊す曲、Racist, Sexist Boyで知ったバンド。
ギタリストのBela曰く、授業中にスマホの通知がけたたましく鳴り出して、教師や周りの生徒、彼女本人も、一体全体何が起こってるんだと戦慄したとかなんとか。
いやもう、かっこよすぎる。
ステージ上の彼女達は完全なるロックバンドだった。
若い才能は、年齢が低ければ低いほどそれが価値になって、持て囃されるのが世の常だけど、あまりに堂々とした出で立ちには、そんな付加価値の事など完全に忘れてしまう。
それから私はメンバー全員が歌うバンドが好きで、とりわけ彼女達の曲は、4人の各々の歌声の違いで、曲毎に個性が溢れてて大好きだった。
でもこんなに大勢の前で演奏するのは初めてだったみたいで、オーディエンスにウェーブを作らせてはしゃいでいたのが、凄く可愛かった。
あと背景のスクリーン映像もイカしてた。コスチュームも。
バックに有能なクリエイター達がついているんだろうなあ。
でもそれは大人が勝手に舞台を用意して彼女達を動かすのではなく、あくまでも彼女達自身の持つ才能や個性を最大限に引きだそうという、そんな意気込みを勝手に感じてる。
彼女達の描いたイラストをアニメーションにしたりとか。
凄くいい。理想の形すぎて羨ましい。このまま最高を作り出してほしい。
ライブでやらないけども、彼女達はRacist, Sexist Boyの他にも「選挙に投票に行け!声を出さなきゃ聴いてもらうことすらできない」なんて曲(Vote)も書いてて、「自分達も18歳になったらそっちに行くから」 で締め括ってるのが、本当に強すぎて好き。
「最後の曲何やるか言ったっけ?」とLuciaが言って、さらっとTHE BLUE HEARTSのリンダリンダをやると発言。
朝で比較的静かだった群衆が、思わずどよめいた。
初来日にして、彼女たちはオーディエンスに心から歓迎を受けたと思う。また来て欲しい。
Beabadoobee
可愛い。可愛すぎる。
彼女のふわふわした歌声に凄く癒された。
サポートのベースのElianaもめちゃくちゃタイプだったので、当たり前だけど、一緒にここにいる…!という感動が凄かった。
なんか、そういうの無い?
アーティスト自身が来るのはまあ当然として、彼女の世界を構築してるバックバンドのお馴染みの顔ぶれが平然と揃ってるのを見ると、ちゃんと「本物」がやって来た…!感が凄い。私だけか。
というか今回、レーベルDirty Hitから3組も来てるの、救いすぎる。
再びマウンテンに戻ってお昼を食べた後は、
All Time Low
うーん、やっぱり特別。
1曲目のLost in Stereoを浴びた瞬間、彼らの音楽の中に埋まっていた私の一部と再会を果たした気がした。
彼らは私が初めてライブに行った洋楽バンドだった。2012年、10年前。だからこれは、私と彼らの10周年記念ライブ。
高校時代、洋楽を齧り出して間もない頃に出会った。でもそれまで音楽には深くハマったことはなかったし、CDを買ったことすらなかった。
部活で人生初めて(手伝いという名の)単発バイトをした帰り道、偶然タワレコを見つけて、一時間うんうん唸って迷って悩んで、それからバイト代全部使って買ったのがアルバムNothing Personal(とマイケミのThree Cheers for Sweet Revenge)。
当時はまだ英語の歌詞なんか何も分からなかったし、飽きたらどうしようと思った。
でもどうせお前が年老いた頃には絶対聴いてないし、今好きならそれでいいんだよ!そう結論づけて買った。
10年前の自分に言いたい。少なくとも10年後のお前も彼らが好きだよ。あれからの10年間で、本当に沢山の音楽を好きになれたよ。
スクリーンに2ndアルバムSo Wrong, It's Rightのジャケ画が出てきて感激した。
でもここ最近は基本的に、新譜からと売れ出した3rd辺りのお馴染み曲からピックアップというセトリ構成で、一番ファンガールしてた頃の4~6thアルバムから完全にやらなくなってしまったのが凄く悲しい。
ふと、お友達の漫画の中のストーリーを思い出した。
The Crack Hearts
イギリスの架空のロックバンドの成長物語だけど、バンドのあるあるネタとかが沢山練りこまれてて、凄くリアルで楽しい。
ぜひ読んでみて欲しい。(良いものは軽率に紹介するスタイル)
ちょうど彼女と一緒に見ていたのもあって、とりわけバンドのあれこれを考えたりした。
10年以上前に自分が書いた歌詞で毎回クライマックスを飾らなければいけないのは、どんな感じなんだろう。そりゃ盛り上がるだろうけど。
人は変わるものだし、私なんかは、過去に作ったものはどんどん稚拙に思えてくるから、そんなの絶対耐えられない。
出演キャンセルした某バンドもそう揶揄されてたけど、バンド自体が懐メロ扱いされるのも辛い。
歳と共に?曲のBPMが段々下がっていくのも面白いバンドあるあるな気がするけど、対照的にAlexの伸びやかな歌声が際立って、エモーショナルな曲が増えた気がする。Monstersも凄く良かった。
彼らを観るのはこれが7回目。初めてのライブは演奏の合間にAlexからピックを手渡しされた。でも4回目以降とかはもう、メンバーそっちのけでモッシュピットで踊りまくってた。
モッシュピット、恋しい。なんか翌日に某アーティストが作ってたらしいけど。
早く自由に踊り狂える世界に戻ってほしい。
Maneskin
伝説の日本上陸。
なんかもう、このショーを明るい時間帯に観ていることがちぐはぐに思えた。
破壊力が凄まじかった。
特にBeggin'。
先月初めてフィギュアスケートのショーを見に行った。
レザージャケット姿の大勢のオリンピック選手が入場してきて、一曲目のダンスに使用されていた曲で、めちゃくちゃかっこよかった。
その曲を今度は生演奏で聴けるなんて、あまりにも贅沢すぎた。
Victoriaがかっこよすぎた。
これは、「女性が一人いるバンド」じゃない。ものすごく暴力的に実感させられた。目を覚ませと冷水を全身にぶっかけられるみたいな。
炎上してた次の某バンドの言動は、何が問題なのか丁寧に説明してくれてる人がいたし、私が改めて語るまでもないけれど。
もう一件も含めて、「彼らは他にも尊敬してるアーティストの事をああやっていじってるから」「いつもあのノリだから」という類の擁護を見て、なんだかセクハラしてる人、虐めてる人が「可愛がってるだけだよ」って、軽薄な口調で正当化させるやつを思い出した。
そうじゃないんだよな。全く噛み合ってないんだよな。私達はこのフラストレーションとどう戦ったらいいだろう。
でも私も分からない。私も彼女を見てめちゃくちゃ綺麗な身体してると思った。
こういう感情は間違ってるんだろうか。これも一種の性的消費なんだろうか。いや、彼女自身の魅力に取り憑かれたのであって、そうであって欲しくない。
性差別は難しい。自分が被害者であったことすら、何年も経ってから気づいたりする。
最近は社会問題について、いつも立ち止まって考えることにしてる。
考えることは疲れる。でもやめてはいけないとも思う。考えずに済んでしまうことも、ある種の特権だと思うから。
King Gnu
マネスキン以降はもうスタジアムで見ようと思ってたけど、魔が差してアリーナまで降りてしまった。そんなわけで端から。
ボーカルのファルセットと地声の切り替えが凄く上手くて綺麗だった。
ボーカルの言葉に促されて振り返ったら、スタンドに明かりが灯っていて綺麗だった。
The 1975
本日の本命。ついに彼らを観れた。
1週間以上も早く日本に来てしまうもんだから、日本でコロナにでもなったらどうしてくれんだと気が気じゃなかった。
King Gnu終了後、前の方の大群が一斉にはけて、考えるよりも先にどんどんと前に流れていって、身を任せていたら、期待以上に前に来れてしまった。
中央のマイクスタンドを見て、え、もしかして肉眼でMattyの全身見れんの…?と面食らった。
ステージにメンバーが現れた途端、その世界観に惚れた。
新譜のコンセプトらしいスタイルがかっこよすぎた。モノクロの、でも初期の時とは違う、何だかクラシックな感じ?
でもそれ絶対暑いでしょ… と出てきた瞬間に思ったけど。
私にとって初めてのThe 1975のライブだったから、彼のグレイテスト・ヒッツな感じで行くからという発言に歓喜した。まさに彼らのライブ初心者の私に、おあつらえむきのショーじゃん。
コロナ後初のステージだったから、全世界が注目していたに違いない。そんな一瞬を味わってしまって良いのか。もはや恐縮した。
なんて心地がいいんだろ。
彼らのふわふわした音楽に全身を包まれてる… それだけで夢みたいに思えた。モノクロの夢の中を漂っているような気分だった。
TOOTIMETOOTIMETOOTIMEは、みんなで指で数字を作りながら踊った。
まあ彼らは全く意図してないだろうけど、英語が歌えなくても、皆で一体感を作れる曲があるのは凄く楽しい。
Matty自身もとても楽しそうに踊ってた。
めちゃくちゃ当たり前で、馬鹿みたいなことを書くけれど、Londonで踊ってたgirl in redのMarieを見た時にも感じた、その音楽を作った人達と、その場で、その同じ音楽を共有している、一緒にそれを楽しんでる、この瞬間を、何よりも幸福に感じた。
が、一変してPeopleなんかは感情を叩きつけるみたいに、狂ったように歌っていて、改めて彼らの音楽性の幅広さと、それらを全て表現しきってしまう彼のカリスマ性にやられた。
大好きだったI always wanna die (sometimes)を遂に一緒に歌えた。
私達のさざ波のような歌声と、はためくイギリス国旗がとてもエモーショナルだった。
The Soundでいつも終わるから、あれ、もう終わり?早くない? と思いきや、やらないかと思ってた大好きなGive Yourself a Tryを、最後の最後にやってくれた。
幸せなリズムに全身を委ねて踊った。
「10歳年下のファンが自殺した
彼女が憧れてた25歳の僕は
外に出ることすら怖がってた」
私にはMattyはロックスターに見えない。
不安定で、傷つきやすくて、スポットライトの下で、ひたすら必死に生きている、同世代の人。
もう今は、皆が何かを彼らから求めていて、いや、社会が求めてるだろう何かを、その何かを、彼は必死に形にしている。
でもだからこそ私は、彼を本当に本当に素晴らしい人間だと思う。
「挑戦してみなよ。挑戦してみるんだ」
自分自身に言い聞かせているかのようなこのセリフは、彼の歌声も相まって、すごく優しかった。
《セットリスト》
Love Me
Chocolate
Me & You Together Song
TOOTIMETOOTIMETOOTIME
It's Not Living (If It's Not With You)
Paris
Happiness
Robbers
A Change of Heart
I'm in Love With You
Somebody Else
Love It If We Made It
People
I Always Wanna Die (Sometimes)
The Sound
Sex
Give Yourself a Try
もう、The 1975の時点でチケット2日の価値があった。やった。明日は無料だ。
でも折角彼らが男女のアーティスト数を平等にしてくれたのに、女性アーティストをあまり見なかったのが心残り。
強烈なメッセージを放った女性アーティストも多くいたよう。Rina Sawayamaも見たかった。かっこいいMCの動画に痺れた。来年の単独行こうかな。
カップルとかで来てる人が沢山いて羨ましかった…
自分の音楽の趣味が全てリンクして、全部に付き合ってくれる彼氏、どこに落ちてるの…(興味ないアーティストに3万は出せないとにべもなく断られた)
でも、私はどうせ相手が楽しんでるかどうか常に気にしてしまうだろうから、これとこれが好き!あ、それ一緒だね!じゃあその時会おっか!みたいなスタイルも、悪くないと思った。
あと、普段日本社会のどこに潜んでんの… と思うほど、タトゥーの入った人が沢山いた。
私もどんな歌詞を入れるかとかうだうだ悩んでないで、勢いでカエルのタトゥーとか入れてしまいたい。
ホテルへの道すがら、夕食をどうしようかと考えていたら、なんとフォロワーさんご夫妻と遭遇した。
そのまま夕食に誘っていただいた。
ライブとかフェスとか、人めちゃくちゃ多いのに、何故か誰かしらと偶然再会できるんだよな… 不思議なところ。
海外旅行を1週間前に計画する人間が、チケット購入と共に幕張にホテルを取ってるなんてありえなかったから、もう近くのホテルは全然空いてなくて、都内まで戻った。
ホテルに着く頃には0時を過ぎていた。
でも翌日は早起きして、その日の本命アクト、YUNGBLUDの為に朝からマリンに籠る。
果たして近くで彼を見れるのか。そもそもちゃんと起きれるのか。
挑戦の結果はいかに。
DAY2に続く