I'm just holding on for tonight.

どこにも行けない呟き

【ライブレポ】Nothing But Thieves

彼らを語る時、「いやー私はそんな大したファンじゃないですよー」という気持ちと、「こんなにも、こんなにも好きなんですけど!!?」という気持ちと、両方がある。

どちらも別に誰かに語って聞かせたいわけじゃないからここに書いている。

本当は前者だけで済ませたかった。

 

彼らの音楽は人の影響で聴き始めたわけじゃなく、偶然代表曲のAmsterdamのMVを見たことで知った。

私が人生で出会える一番最高の音楽だと思った。

慌てて見た他のMVも、もれなく全て私の心にぶっ刺さった。

 

でも私は何かを大好きになる事が苦手な人間なので、常に一歩引いて冷めた目で見ていたいと思っていた。なぜならそれを失った時に耐えられないので。

その点彼らはおあつらえ向きだった。

すでにサマソニに2度も出演していて、ジャパンツアーもしている。

これからも来日するだろうバンドだ。

もう日本に沢山のファンがいるから、私はそこまでのファンじゃない。それでいい。それくらいの距離感がいい。

 

でも結局のところ、何年経っても彼らは私の中の一番の座に居続けて、私はレディングフェスティバルへ彼らを見に行き、彼らの故郷を旅し、アムステルダムも訪問した。大麻を吸いながら彼らの音楽を聴いた。

「こんなにも、こんなにも好きなんですけど!!?」が膨らんできてしまって怖くなってきた。

 

そして恐れていた時が来た。

そんな私の熱量と反比例するかのように、昨年発売された4thアルバムの国内盤は出ず、アルバムツアーもなかった。そんなことになるとは思ってもいなかった。

もう日本に来る、沢山のファンがいる、私にとって安全なバンドではなくなってしまった。

ショックだ。

 

そんなわけで、昨年韓国公演に行った。

ここで彼らの4thアルバムを冠したライブの素晴らしさは語りに語ったので、今回は特にその手のレポは書かないつもり。

なので本当に読む価値ないです。

 

今年こそはサマソニに出演するだろうと、アナウンスを今か今かと待ち構えていた頃、彼らが今度はオーストラリア公演を発表した。

なんとゴールデンウィーク中だった。

いつか見てみたいと思っていたEverything Everythingもオーストラリア公演を発表して、彼らのライブの前日に、同じ土地アデレードでライブをすることが分かった。

実は昨年、韓国公演に行くか、イギリスの公演に行くか迷っていた時期があった。

イギリスで、Everything Everythingが彼らの前座の日が一日だけあったので。

最終的に韓国を選んでよかったと思っているけれど。

再び現れた、またとないチャンスに誘惑される。

 

オーストラリア、行くか

行ったことないしね。岩しか知らないけど。

 

2月に入院していた時に航空券をぽちった。

たったの6日間でシドニーメルボルンアデレードを旅する、Theジャパニーズ社畜の計画が立てられた。


メルボルン

Nothing But Thievesのライブは、初めは箱の小さいアデレードだけ見に行こうと思っていたけれど、丁度メルボルンにいる友達がいたので、一緒に見ようとなった。

日中はシドニーで過ごして、飛行機で18:30にメルボルンに着き、そこから急いで会場に向かった。

本当にクレイジーな旅をしている。

 

会場

こういうのテンション上がるね~

 

チケットは購入時には既に大分捌けていたので、スタンド席。

ステージが見にくいと書かれていたので、不安だったけど、いざ会場に入ってみたら、そんなことは気にならないくらい、というか思わず喜んでしまうほどとても近くにあった。

今回はDomPhil側で見た。

 

アリーナで彼らを見るのは初めてだったから、両脇にスクリーンがあることに、ライブが始まるまで気づかなかった。

始まった瞬間、自分の頭上に、遠く離れたところにいるはずのJoeの馬鹿でかいシルエットが表れて、のっけから死んだ。

(無料の動画掲載ツールが削除されてしまったのと、Twitterに鍵かけたいのとでYoutubeに移転中…)


韓国公演は必死に脳裏に焼き付けようと思ったけど、今回は今夏にまた会えるという事実がある。その余裕が嬉しかった。

Welcome to the DCCからの始まりは、サマソニでも盛り上がるんじゃないかな?とか考えたり。

その次のIs Everybody Going Crazy?も、一曲目で作らせた熱を冷めさせないし。

 

韓国でやらなかったThis Feels Like the End

アデレードでもやらなかったから、動画を撮っていて正解だったな。

エレキギターをかき鳴らすConorは、やっぱり最高にかっこよかった。

 

I don't wanna see what we've become
(僕らの有様から目を背けたい)

 

今の私達にぴったりな曲なんじゃない?

それを鑑みて選んでるのかは知らんけど。

 

コナー君、歌上手くなってきたなあ。

君の唯一無二の歌声で、音感を完全にものにしたら、もう無敵だよ。

 

You Know Me Too Wellも韓国でやらなかったから嬉しかった。

気だるい夏のラブソング。

彼らは人気な曲とかじゃなく、自分たちのやりたい曲を自由気ままに選んでいる気がする。

1stアルバムからの選曲とか本当に謎。Graveyard Whistlingを取り戻せ…

 

せっかくなので、またしてもコンテジを手に取った。

これがこのカメラの限界なのか、私の腕がまだまだなのか分からないのがもどかしいけれども。(ブログ用に画質下げてます)

 

アリーナのスタンディングの中心あたりから後ろは、そこまで熱狂的ではなかったなあ。スタンド席も座ってる人多かったし。

韓国のオーディエンスは競えるんじゃ?と思った。日本も頑張れたらいいな…

ただI love youが飛び交わないライブはいかにも英語圏だなと思った。

私たちはそれくらいしか彼らに伝えられる表現が無いものね… そこは韓国のファンと握手をしたい。

 

途中から私たちの前の人たちが立ったので、つられて立って見ることが出来て良かった。

相対的に考えれば決していい席ではなかったけど、もっと近くで見たかったとは全く思わなかった。

それよりも、こんなに大きな会場でライブが出来るようになった彼らを誇りに思った。

そして何よりも、日本から遠く離れたところで友達とライブを見れたことがとても嬉しかった。

 

彼らのジャンルレスな楽曲の連続技は、現実に意識を戻す隙を与えない。あっという間にライブは終わりへと近づいていく。

 

Pop The Balloon

カメラマンがいい仕事をしていた。

Joeとの掛け合いが最高だ…

このスクリーンの臨場感はアリーナならではの良さだったから、ここに見に来て本当に良かった。

 

アンコールに新曲のOh No :: He Said What?が追加された。

ダンサブルなこの曲に合わせてノリノリに踊りながら、まだまだ終わらせないでほしいと思った。

 

そこからは定番のAmsterdam、そしてOvercomeで爽やかに締めくくられた。

 

ゴリゴリにかき鳴らされるギターとベース音とConorの叫び声、また別の曲では彼の繊細で優しい歌声、それらの両方を堪能して、やっぱり彼らは私が世界一好きなバンドだとしみじみ思った。

 

 

アデレード

メルボルンの3日後。

こちらはライブハウスなのでスタンディングだった。

海外のライブは、整理番号が無くて早く来たもの勝ちだから、朝から会場に向かった。ついたのは8:15。

それでももらった番号は15番だった。

最初のグループは6:30に来たらしい。

整番制と先着順、メリットもデメリットもあるのでどちらが良いかとは言えない。いままで良い整理番号を沢山手に入れてきたけれど、その度に運を使ってしまったかもしれないとひやひやしたし、反対に席が最悪だった時もある。

となると、早く来れば確実に良い場所で見れるこっちの方がいいのか。でも大物アーティストだと数日前からテントを張って待っているようなファンがいるから、度が過ぎるのもよくないと思う…

 

Twitterで相互フォローしている人達にも会えた。

もう少し英語が出来たらよかったのにと自分をもどかしく思った。

 

直近でベトナムカンボジア、韓国を旅して、現地の言葉はろくに調べずに、自分の英語をごり押ししてきたけれど、いざ本物の英語圏に来たら、こんなにも通用しないのか。情けなかった。

イギリス人にオーストラリアの人の英語は早口でアクセントも強くて分かりにくいと言われたけれど、慰めなのかわからない。

現に大好きなバンドの喋ってることにも理解が追い付いてないし。

英語をまるで使わない国日本で、私は一体あと何をどれだけ頑張ればいいんだろう。

 

明日にはもうこの街を去るから、アデレードでは観光はできないなと思っていたけども、一度番号を手に入れたらその場を離れてもよいみたいだったので、美術館に行ったりマーケットに行ったり、なんだかんだ見るべき所には行けた。

でも詳細は省くけれど、旅の途中で体調を少し崩したので、怖くてその日はチョコレートしか口にできなかった。

以前もライブで意識が朦朧としたし、旅といい、ライブといい、つくづく自分という人間に向いていない趣味だなと痛感する。

それなのに、それらが生きがいになってるのだから失笑してしまう。

 

7時に開場した。

アデレードのライブハウスは韓国よりも小さかった。だからこそ選んだのもあるけれど。

なんとか最前列を取れた。

アリーナライブを経験した直後だから、この距離で見れるのが信じられない。もちろん、韓国公演よりもステージが近い。

 

韓国公演に持って行ったけど、後ろの人に迷惑にならないか不安で一瞬しか出せなかったサインを、ようやく持てることが分かって良かった。

多分コナー君気づいてなかった気がするけど。

 

SE代わりのDead Club Radioももうすっかりおなじみになった。

でもサマソニでは流れないだろうから、これで聞き納めだと思うと切ない。

 

5年も会っていなかった彼らと、もう3回目の再会だよ。

愛おしくてたまらない

これからまたライブに行けなくなってしまったらどうしよう。耐えられる気がしない。

 

(なんとなくだけど、コンテジの方がライトやスモークが滑らかに写せている気がする)

 

新譜から続く、爽やかだけどネガティブな彼ららしいTomorrow Is Closedと、コナーのファルセットを堪能できるCity Hauntsももれなく大好きだ。

 

それでも2ndアルバムのSorryのイントロには、積み重なった年月分、心が大きく揺さぶられる。

 

サビは全曲、他もかなり一緒に歌えるのは、やはり彼らのライブくらいだと思う。

 

彼らの音楽と一つになれるのはとても心地が良かった。

最前列で見ておいてなんだと思うけれど、私はもう彼らを近くで見る必要はないのかもしれないとも思った。目の前でかき鳴らされている音を全身で感じたくて、目を閉じてしまうこともあるくらいだから。

 

サマソニ、Amsterdamとかでモッシュピット出来るかなあ。

モッシュピット、好きなんだよね。

自分の全てを脱ぎ捨てて、ただただ音楽と一体化できる感じが。

国旗を用意するから一日は前で見たいけれど。

 

でもConorが音楽に身を任せて踊っているのを見るのはすごく好きだった。

 

彼のダンスの動画いっぱい撮ってる… 後で見返した時、笑顔になれる気がしたから。

この焦らしが出来るのはフェスじゃなく単独ならではだなあと振り返って思う。

(というかせっかく最前列取れたのに自分の指がカメラにちょいちょい収まってるの馬鹿すぎると思う)

 

オーディエンスの反応に満足げにほほ笑むコナー君が好きだ。

 

昨年3年越しに念願叶って聴けたImpossible

今回はConorと一緒に歌ったので、動画は残っていません。

 

《セットリスト》

持っていた人に写真を撮らせてほしいと頼んだら、持たせてもらった。

 

韓国公演と、メルボルンアデレードと、セトリを結構変えてきたので、どれも見れてよかった。

それと共に、私はサマソニは両日とも彼らを見るであろうことを、否応が無しに確信した。

 

 

空港

私は翌日日本へ帰る。

彼らは2日後にニュージーランドでライブをする。

じゃあ私と同じ日に移動するのかもなと思った。

彼らはどの飛行機に乗るんだろうと何気なく調べたら、ニュージーランド行きの直行便は一日に一本しかなかった。

11:55発。私の飛行機は13:00発。

ということは、私がちょっと早く空港についておけば、確実に会えるんじゃん。

 

確実に会える。そんなに心強いことはない。

けれども私は認知が歪んでいるので、言葉にしたら、万が一が起こりそうだから、ごく数人の友達にしか伝えなかった。

 

ライブの翌朝は持ち前の早朝覚醒のせいで5時に目覚めた。

これまた持ち前の不安症のせいで、空港と反対のバスに乗ってしまったらどうしようと思ったので、そのまま準備してホステルを出た。

空港に着いたのは7時くらい。この時点でアホみたいだと思う。

 

8時半頃にクルー達がやってきたので、そわそわした。

メンバーは来る?と聞いたら、一緒じゃないよと言われた。

でも何回か空港で出待ちをしたことがあって、機材と共にバンドが表れることはないのは知っていたので、それには動揺しなかったけど、その次に愕然とする言葉を貰った。

 

「飛行機遅延してるよ」

 

遅延?何分?

フライトボードを見に行ったら、Delayedとしか書かれていない。

スマホを出して調べたら、そこには3時間10分の遅延と書いてあった。

 

そんなことってある???

 

こんなに遅れてるなら、他の乗り継ぎ便を使ってもういない可能性もあるんじゃないかと、パニックになりながら、おぼつかない英語で日本から来たから会いたい、彼らはこれから来るのか、と聞いたら、面倒だが相手にしてやるかという感じで、とりあえず同じ便だよと教えてくれた。

 

時計の計算は昔から大の苦手なので、足りない頭で考える。

3時間10分後なら飛行機が飛ぶのは15時5分?

そんな時間に私は空港にいるはずがない。

 

でもそうだ、よく国際線は3時間前に空港に来るべきだと聞くから、それなら彼らが来るのは12時5分?

じゃあ会える?それから、念のためにそれより早く来たりしない?

 

いや、ロックバンドの人間がそんな規則正しく来るはずねえな。

仮に2時間半前の12時35分に彼らが現れても、私は自分の飛行機に間に合う気がしない。

そもそも2時間半前だろうと来る保証はない。アデレード空港はとても小さいので。

 

…確実に会えるはずなのに、それなのに会えないのか。

 

もはや血迷って自分の飛行機をキャンセルしようかと考えた。

シドニーでの乗り継ぎには6時間の余裕があったので。

どこまで馬鹿なんだろうとも思うけれど。

 

泣きそうになりながら、でも自分の飛行機が来るまではやることもないので、祈るような気持ちで彼らの音楽を聴きながら待っていた。

アルバムを4枚通しで聴いた。

その間ずっと空港の入り口を見ていた。

 

しばらくして、スマホに一件の通知が届いた。

あなたの便が25分遅延していますと。

 

奇跡だと思った。

新たに25分の猶予が与えられた。それなら、もしかしたら会えるかもしれないと思った。

 

数えきれない程の人が入り口から入ってくるのを見守った。

でも私の知っている彼らはいつまでも現れなかった。

 

もう彼らの飛行機の離陸の2時間半前を過ぎてしまった。

彼らは、オーストラリア人でもない知らんファンが、情けない面を下げて、空港の床に座って自分たちを待っていることなど知る由もなく、空いた時間をラッキーとでも思ってるんだろうなあと思った。

 

すると、しばらくして、また彼らのマネージャーが近くに戻ってきた。

遂にその時が来たと思って震えた。

 

空港には、それはそれは沢山の人が行き来していて、その中で彼らは特段目立つ容姿をしてるわけじゃないけども、自分の大好きな人達っていうのは、とてもキラキラして見えるんだね。

 

こちらに向かってくる彼らに、泣きそうになりながら近づいて、日本から君たちのショーを見に来たと伝えた。

全員が笑顔を見せてくれた。

Joeに「楽しかった?」と聞かれた。

咄嗟に"Yeah!"としか答えられない自分が情けない。だって、君たちは世界で1番最高なのに

 

メンバーに順番に写真を撮ってもらった。

後で見返したらみんな優しい笑顔で、泣きそうになった。

 

4人と写真を撮っている時、Conorだけ先に行ってしまったと思ったら、チェックインカウンターの前に自分の荷物を置いてすぐに戻ってきて、両腕を広げてハグしてくれた。

 

ブレスレットのプレゼントを渡すことができた。

これを日本に持って帰ったら、どれほど惨めな気分になっただろうと思うから、本当に良かった。

 

私のスマホの壁紙には、私だけに向けられたConorの笑顔がある。一生の宝物だ~

 

彼はMan-Made Sunshineというソロプロジェクトを以前行っていて、「自分の幸せを受け止めよう、自分だけの太陽を作るんだ」というメッセージを残していたけれど、彼の笑顔は本当に太陽みたいだと思った。

 

Conorには、一生幸せに生きていてほしいと思う。

大げさじゃない、この世にはもう自分の推しに対してそう願えない人が沢山いるし、私も何人も失ってきたから。

彼は精神的な不調を経験していて、一時期はバンドを解散しようとまでなったことがある。

その時の感情は赤裸々に音楽にしていて、それらに私は何度も救われている。

 

Conor Masonという人物がいかに素晴らしくて、自分に影響を与えたかは6年前に語りまくってるので省くけれど。

 

伝えたいことはもっと沢山あった。

君たちの音楽がどれだけ自分にとって大切なものかとか。Conorのソロプロジェクトの話とか。

単独公演もやってほしいとか。(これはメンバーに言ってもしょうがなさそうだけど)

でもプレゼントは渡せたし、慌ただしい手続きの前にそこまで彼らの時間をとりたくなかったし、自分の精一杯の交流はできたんだと思う。日本のファンの存在を伝えられたことも大きかった。

 

彼らと写真を撮った時刻は12時55分。

私の飛行機の本来の離陸時刻の5分前だった。

全部奇跡だった。

 

Joeが"I'm looking forward to SUMMER SONIC!"と言って、ウインクをしてくれた。

(彼は自分のウインクの破壊力を知っていた方がいいと思う。それとも確信犯なのか)

 

昨年はずっと来日公演の発表を待ち望んでいて、彼らの音楽を聴くたびに、こんなにも?こんなにも好きなのに来ないの?と辛くなっていたから、彼らの日本人のファンとして、向き合ってもらえたことが嬉しかった。救われた気がした。

彼らのMCのKoreaとMelbourne、Adelaideの言葉から勝手に感じとっていた一抹の寂しさが成仏されてよかった。

 

彼らのライブを見て、最後に彼らに会えて、なんて最高な旅の終わり方なんだろう。

本当に幸運続きの旅だった。

 

Nothing But Thievesのみんな、サマソニで会いましょう。