ライブレポと書くとファンの方が見に来て申し訳ないのでよく分からないタイトルに…
ただの日記です。ライブレポ要素ほぼないです。
2年前にNothing But Thievesの韓国公演で知り合った韓国の友達が、日本にMUSEを見に来たいと言うので、彼女とその友人たちの代わりにチケットを取ってあげることにした。
彼らの韓国公演は、Suedeとスマパンが出るフェスともろ被りだったようで。(なんでそんな残酷なことをするんだ…)
こういう頼まれごとには、待ってましたとばかりに全力で応じてしまうのが私だけど、後々よく考えたら4人でほぼ9万円のチケット、(すぐに支払ってもらったけど決済の瞬間は肝が冷えた)、それからその4人が飛行機で他国からはるばるこのライブの為にやってきて、私の手中の紙切れ4枚がその命綱であるという事実は、メンタルよわよわの人間には結構応えた。
部屋から消滅したらどうしよう…と不合理な恐怖に終始駆られて、自分が不慮の事故でいつ死んでも大丈夫なように部屋の入口の壁に連絡先と共に貼り付けておいた。
彼女達とはライブの前日に会うことに。
彼女とだけ会う予定が、急遽一緒の男性の2人もご飯に来ることになった。
私の中の韓国人男性像は、日本人より屈強そうとかいうめちゃくちゃ適当なものしかなかったので、果たしてどう転がるかなと考えながらも、特に緊張はしなかった。
そしてはい、屈強な、まあ大体想像通りの男性2人を連れた彼女が現れた。
会うのは昨夏の彼らの韓国公演ぶりだから、一年ちょっとぶり。
日本で会うのは初めて。
相変わらず彼女の日本語はペラペラだった。
いや、二年前はほとんど敬語だったそれが完全にタメ口に進化していて、心の距離が更に縮まった感じがして嬉しかった。
チケットのお礼に謎にお酒を貰った。

眠剤をodして歩行困難になったことのある私は、なんだかとんでもなく殺傷能力の高そうなものを手に入れてしまった… という感想が真っ先に脳裏に浮かんで申し訳なかった。
こんな立派なものを美味しくいただける自信が無い。
昨夏会った時に、彼女に自分が使ってるのと同じリップ、とプレゼントを貰ったので、私も自分が使ってるのと同じリップをプレゼントした。
いいね、こういう恋愛だけしていたかったね。
彼女とのコミュニケーションはいつも日本語だったから実感したことがあまりなかったけど、韓国の人って、結構英語喋れるのね。
着席してすぐコミュニケーションが英語で取れると互いに把握したらほっとして、すぐに会話に花が咲き始めた。

男性の1人は韓国のロックバンドの大ファンで、狂った行動ぶりでメンバーにも認知されてるみたいだった。
バンドの久しぶりのアルバムリリースでは、彼が勝手にデザインしたふざけた広告をパッケージに、水を8万円分受注してフェスで配ってたという。頭おかしいだろ。
韓国ってこういうファンの活動に結構寛容なのが羨ましいなあ。
私が某バンドを世界中で追いかけまくって、タトゥーまで入れてる狂った人間だと分かったことで、信頼してもらえたみたいだった。
一通り英語で盛り上がったあと、彼が翻訳アプリに向かって韓国語で喋って、私に見せてきた「人にはあまり話せないけど、同じことをしているあなただから話しました」というシュールな日本語で、またひとしきり笑った。
彼女達は音楽好きの仲間同士で家賃を出し合ってソウルの一部屋を借りて、リノベーションをして、防音ばっちりのその部屋で、ライブ終わりにみんなでたむろして盛り上がってるらしい。
シャワー室も、仮眠部屋もあるんだよ、と色々写真を見せてもらった。
壁一面をスクリーンにしてライブ動画とかも見れるみたいだった。
韓国人も日本人と同じく絶滅危惧種らしいし、結婚への興味も薄いと聞いたことがあるけれど、これはこれで楽しそうな人生だなと思った。
頼んで出てきたキムチの事をこれ絶対偽物でしょwwwと私が言ったら彼もfake kimchiと言ってて笑った。
友達と私の日本語、私のほぼ単語だけの韓国語、彼らの韓国語、主な会話の手段の英語、時々登場する通訳アプリのシュールな日本語… 三か国語が飛び交うコミュニケーションはとても楽しかった。
大学時代、国際交流サークルに軽く入ってたなー
でもほとんど日本人に、ちょっと留学生が参加してるみたいな飲み会とか、観光地の案内とか、その場限りの関係ばかりだった。
国際交流、なんて煌びやかで空虚な言葉なんだろうね!
国際交流然り、英語力然り。日本語のご立派なそれは、まるで買いもしない自転車の写真を集めて額に入れて飾っているみたいで滑稽だ。どれでもいいから早くそれに跨って、どこかへと向かえばいいのに。
近年の私はと言うと、彼らの音楽を目的地にしてたら、気がついたら自転車を漕いでいた。
そこが高速道路だろうが構わず、ボロボロの自転車で爆走していた。
国際交流。そんなものは、なにもご丁寧にパッケージングされていなくたって、気づいた頃には私は手に入れていたのだ。
私という人間自体は平凡でつまらないけども、私の人生にはぶっとんだ登場人物が沢山現れるから、辞めらんねえなと思う。
When you come to Korea next time, I will treat you to everything, everything! Please just pay for your flight tickets lol
と彼に言われた。
冗談で全然かまわないが、またすぐ行きたいし彼らにも再会したいなと思った。
というわけでNothing But Thievesの皆さん、また韓国公演やりません~???
そういえば彼らは韓国語で낫벗띠(ナッボッティ)と呼んでるらしい。
なんか可愛いのと呼びやすいのとで、話してたら段々定着してきた。
翌日もライブ前に合流した。
私がチケットを購入してあげた最後の一人と、外国人向けの窓口から購入したという他の友人男性(みんな男性…)達とも顔合わせ。
これまた私の韓国人男性像そのままに、男性達は一杯引っかけに行ったので、私と友達2人でカフェに行った。
日本のお金は0が一つ少ないから何でも安く見えちゃう、分かる!私は韓国のお金は何でも高く見えちゃう!とか、あるあるで雑談が盛り上がって楽しかった。
最近日本語の勉強を始めたんだ!と彼女が言う。
いや既にペラペラなのに今更何をと言ったけど、彼女が意味したのは外国人用の日本語の試験の勉強だった。
リスニングは完璧だったけど、読むのは漢字があるからあんまりできない… ここまでは簡単だったけど、ここから先はえーっと、「壁?(私)」かべ!があって、ここを超えるとワーホリ出来るくらいだって!
ワーホリいいじゃん、しちゃいなよー 一緒にライブ行けるよ!と誘惑をしておいた。
が、そのあと男性達と合流し、昨日食事した時の寡黙だった方の男性のことを「かなちゃん!この人、私の彼氏」と紹介され、あえなく失恋した。
というか、皆には内緒と言われたけれど、この集団の全員に秘密にしてるのが笑えた。
私だけ知ったことを素直に喜ぶべきですか。
私は3Aで先にチケットを取ってしまっていて、彼女達はスマチケが使えなくて一般で取ったため、ライブは分かれて見た。
MUSE

というわけでようやくライブです。
とはいえ、非常に申し訳ない事に、彼らの音楽は網羅してはいなかった。
なんとなく某バンドがオープニングアクトを務めたこともあったし、見ておかなければいけない気がして… 昨今、次にいつ見れるか分からないし。
なんか以前誰かが、MUSEの音楽は毎日聴く音楽じゃないと言っていて、それだ、と思った。普通に好きだけど、毎日聴くには、なんだかoverwhelming?な感じ。
結局自分の生活と、呼吸と、心拍数に一番しっくりくるのはあのバンドだったようで。
でもだからこそ、ライブは楽しめるだろうと思った。
全体を通しての感想は、なんだか美術館で有名な絵画を鑑賞しているような気分だった。

失敗した写真もMUSEならもはや芸術と称せそう。
後ろから見ると、楽しそうに自由気ままに踊ってるオーディエンスが見えるから楽しいな。
私が一番好きなバンドのライブではほとんど見たことがなかったな。ひょっとして損してるのかもな。
素人でもわかるくらい音が良かった。
もはや、下の階よりも私の立ってるところが特等席なのでは…?と思うほど。
全ての音が、全力で殴り掛かってきた。
真っ先に出た感想、この箱で彼らのライブを見たい。
1億歩譲って現実的な話にするならば、Radioheadの来日公演はこの箱でやって欲しいと思った。
Burn the Witchの繊細な音の一つ一つをこの空間で聴けたら、その場で昇天できそう。
Mattの変態ぶりが良かった。
謎のダンスと、理解の範疇を超えるギター音、そしてカメラに向かってさあ歌え!とばかりにマイクを差し出すこと度々。

3ピースバンドのボーカルって、これくらいクセ強くないとやってけないんですか???
スクリーンに映し出されるメンバーにアニメーションが同時に合成された映像、これどういう技術なんだろう。凄くかっこよかった。Green Dayでも見たような。

上手く撮れてないけど…
Chrisの雷のような骨太なベース音が、彼らの音楽を支えているのを目と耳で感じた。
でも一番印象に残ったのはこの曲だったと思う。
この曲って、生演奏期待しちゃっていいものだったんですか…??
ロックバンドがギターを置いてピアノに向かう曲なんて、ほとんど小休止的な曲だと思うじゃない。こんなの、ギター片手間に演奏していい代物じゃないよ。
私はギターに関してはちんぷんかんぷんなので、凄いことは分かってても何が凄いのか語る術がなかったけど、ピアノに関しては、これがロックバンドのボーカルが突如披露するレベルから完全に逸脱している事だけは分かった。
いきなりクラシックのコンサート会場にぶっとばされたよ。
そっか、彼らの楽曲はオーケストラを駆使して交響曲仕立てにしたものや、既存のクラシック曲をサンプリングしたものがあったけど、奇抜なアイディアに飛びついたのではなく、造詣の深さが生み出したものだったんだな… と、ファンなら周知だろうことに深々と頷いた。
彼らの楽曲への説得力が凄く増した。もっとちゃんと聴き直さなければと痛感した。
照明もめちゃくちゃかっこよかったなあ。

最後のStarlightの大団円ぶりは、一緒に歌えたらめちゃくちゃ気持ちよかっただろうなーと思った。
ライブ後に再び合流した韓国の友人たちは、Kアリーナの音質をとても褒めていた。
興奮して大声で語り合ってる男性達を指して、私と意気投合した彼がアプリで「彼らは韓国のライブがクソだと言っています」と渡してきて、どう考えても目の前で繰り広げられている会話量に見合ってない適当さに爆笑した。
実際、韓国ではコンサートに特化したアリーナが無いそう。
K-POPカルチャーがあるのに意外だった。
彼らの誉め言葉はエスカレートして、Foo Fightersのフライヤーを指さして、さいたまアリーナの音響は?oasisの東京ドームは?ここを100としたらどれくらい?と質問攻めにされて、焦った。
すまん、そこまで正確に比較できる耳を私は持ってない。

ライブ後の酒の飲み方が玄人過ぎるんよ。
横浜は私の住処なので、彼らの終電ぎりぎりまで飲みながらお喋りして、その後駅まで見送った。
久しぶりに再会した彼女だけでなく、男性達とも、初めて知り合ったとは思えないくらいに盛り上がって、別れ際は寂しかった。
また韓国に戻りたい。
あの全身に静かに突き刺さってくる冬の寒さが恋しい。
というわけでナッボッティの皆さん、また韓国公演しませんか???