I'm just holding on for tonight.

どこにも行けない呟き

【和訳】I Have More Than One Soul / Man-Made Sunshine

I Have More Than One Soul

I am the flower soft in a breeze
I am the boulder firm to the freeze
I'll be the bad guy, dark to the bone
But I'll be a light, a lantern, a love
僕はそよ風に揺れる花
僕は凍てつく寒さにも動じない岩
骨の髄まで闇に染まった
悪人になることもある
でも僕は光にもなる
ランタンの火に そして愛にもなる

I am a mother, father and kid
I am estranged and I am a friend
I've been to heaven and I've been to hell
Is there a difference, I can't tell
僕は母であり 父であり 子供でもある
僕は他人でもあり 友人でもある
天国にも 地獄にも行ったことがある
違いがあるのか 僕には分からない

I'll hold the world and take it apart
Or sit on the shelf, point as I laugh
Cry at the birth of my friends child
But numb myself to the horrors around
世界をこの手に抱えて 壊すことだってできる
棚に座って 指さして笑っていたりもする
友人の子供の誕生に涙して
一方で 周りの恐怖には心が麻痺する

I've got guilty thoughts like you
Should I be helping more than I do?
I'm just tryna get outta bed
Survive in a world that wants me scared
君と同じように 罪悪感があるんだ
もっと誰かのために何かすべきなんだろうか?
ただ ベッドから出ようとして
僕を怯えさせようとする世界で
生き延びようとしてるだけなんだ

'Cause everyday I'm alone
And all together
Yeah, everyday I feel all alone
And all together
だって 毎日僕はひとりぼっちで
そして 全てと一つになってる気もして
本当に 毎日孤独を感じて
同時に 全てが共にあるとも感じる

I have more than one soul in me
That I let you see
I have more than one soul in me
It's about time to let them free
僕の中には いくつもの魂がある
君に見せるのは そのうちの一つだけ
僕の中には いくつもの魂がある
そいつを解き放つ時が来たんだ

I took a hammer to the heart
Split me open, spilled my past
But giving up ain't giving up till
You're pushing daisies through the dirt
心にハンマーを振り下ろして
自分を割って 過去をぶちまけた
でも諦めたとは言わない
土に還って花を咲かす その時までは

Biting hard on leather straps
Smile for you when I collapse
Take me all or leave me be
I'm a freer man, now I finally see it
革のベルトを強く噛んで耐え
崩れ落ちながら 君のために微笑む
僕をすべて受け入れるか
それとも放っておいてくれ
僕は自由になった
やっと今 それが見えるんだ

I have more than one soul in me
That I let you see
I have more than one soul in me
It's about time to let them free
僕の中には いくつもの魂がある
君に見せるのは そのうちの一つだけ
僕の中には いくつもの魂がある
そいつを解き放つ時が来たんだ

Let them free
I know what means to me
解き放とう
自分にとって何が大切か
今なら分かる

コナー・メイソンの歌声は私が一番好きな楽器なので彼がどんな曲を作ろうが好きになるのは当たり前なのだけど、本当に彼は私に色んな好きと出会わせてくれるなあ…

 

曲に寄せたインスタの投稿。

 

【ライブレポじゃない】サイクリング国際交流とMUSE

ライブレポと書くとファンの方が見に来て申し訳ないのでよく分からないタイトルに…

ただの日記です。ライブレポ要素ほぼないです。

 

2年前にNothing But Thievesの韓国公演で知り合った韓国の友達が、日本にMUSEを見に来たいと言うので、彼女とその友人たちの代わりにチケットを取ってあげることにした。

彼らの韓国公演は、Suedeスマパンが出るフェスともろ被りだったようで。(なんでそんな残酷なことをするんだ…)

こういう頼まれごとには、待ってましたとばかりに全力で応じてしまうのが私だけど、後々よく考えたら4人でほぼ9万円のチケット、(すぐに支払ってもらったけど決済の瞬間は肝が冷えた)、それからその4人が飛行機で他国からはるばるこのライブの為にやってきて、私の手中の紙切れ4枚がその命綱であるという事実は、メンタルよわよわの人間には結構応えた。

部屋から消滅したらどうしよう…と不合理な恐怖に終始駆られて、自分が不慮の事故でいつ死んでも大丈夫なように部屋の入口の壁に連絡先と共に貼り付けておいた。

 

彼女達とはライブの前日に会うことに。

彼女とだけ会う予定が、急遽一緒の男性の2人もご飯に来ることになった。

私の中の韓国人男性像は、日本人より屈強そうとかいうめちゃくちゃ適当なものしかなかったので、果たしてどう転がるかなと考えながらも、特に緊張はしなかった。

 

そしてはい、屈強な、まあ大体想像通りの男性2人を連れた彼女が現れた。

会うのは昨夏の彼らの韓国公演ぶりだから、一年ちょっとぶり。

日本で会うのは初めて。

相変わらず彼女の日本語はペラペラだった。

いや、二年前はほとんど敬語だったそれが完全にタメ口に進化していて、心の距離が更に縮まった感じがして嬉しかった。

 

チケットのお礼に謎にお酒を貰った。

眠剤をodして歩行困難になったことのある私は、なんだかとんでもなく殺傷能力の高そうなものを手に入れてしまった… という感想が真っ先に脳裏に浮かんで申し訳なかった。

こんな立派なものを美味しくいただける自信が無い。

昨夏会った時に、彼女に自分が使ってるのと同じリップ、とプレゼントを貰ったので、私も自分が使ってるのと同じリップをプレゼントした。

いいね、こういう恋愛だけしていたかったね。

 

彼女とのコミュニケーションはいつも日本語だったから実感したことがあまりなかったけど、韓国の人って、結構英語喋れるのね。

着席してすぐコミュニケーションが英語で取れると互いに把握したらほっとして、すぐに会話に花が咲き始めた。

男性の1人は韓国のロックバンドの大ファンで、狂った行動ぶりでメンバーにも認知されてるみたいだった。

バンドの久しぶりのアルバムリリースでは、彼が勝手にデザインしたふざけた広告をパッケージに、水を8万円分受注してフェスで配ってたという。頭おかしいだろ。

韓国ってこういうファンの活動に結構寛容なのが羨ましいなあ。

 

私が某バンドを世界中で追いかけまくって、タトゥーまで入れてる狂った人間だと分かったことで、信頼してもらえたみたいだった。

一通り英語で盛り上がったあと、彼が翻訳アプリに向かって韓国語で喋って、私に見せてきた「人にはあまり話せないけど、同じことをしているあなただから話しました」というシュールな日本語で、またひとしきり笑った。


彼女達は音楽好きの仲間同士で家賃を出し合ってソウルの一部屋を借りて、リノベーションをして、防音ばっちりのその部屋で、ライブ終わりにみんなでたむろして盛り上がってるらしい。

シャワー室も、仮眠部屋もあるんだよ、と色々写真を見せてもらった。

壁一面をスクリーンにしてライブ動画とかも見れるみたいだった。

韓国人も日本人と同じく絶滅危惧種らしいし、結婚への興味も薄いと聞いたことがあるけれど、これはこれで楽しそうな人生だなと思った。

 

頼んで出てきたキムチの事をこれ絶対偽物でしょwwwと私が言ったら彼もfake kimchiと言ってて笑った。

友達と私の日本語、私のほぼ単語だけの韓国語、彼らの韓国語、主な会話の手段の英語、時々登場する通訳アプリのシュールな日本語… 三か国語が飛び交うコミュニケーションはとても楽しかった。

 

大学時代、国際交流サークルに軽く入ってたなー

でもほとんど日本人に、ちょっと留学生が参加してるみたいな飲み会とか、観光地の案内とか、その場限りの関係ばかりだった。

国際交流、なんて煌びやかで空虚な言葉なんだろうね!

国際交流然り、英語力然り。日本語のご立派なそれは、まるで買いもしない自転車の写真を集めて額に入れて飾っているみたいで滑稽だ。どれでもいいから早くそれに跨って、どこかへと向かえばいいのに。

近年の私はと言うと、彼らの音楽を目的地にしてたら、気がついたら自転車を漕いでいた。

そこが高速道路だろうが構わず、ボロボロの自転車で爆走していた。

国際交流。そんなものは、なにもご丁寧にパッケージングされていなくたって、気づいた頃には私は手に入れていたのだ。

 

私という人間自体は平凡でつまらないけども、私の人生にはぶっとんだ登場人物が沢山現れるから、辞めらんねえなと思う。

When you come to Korea next time, I will treat you to everything, everything! Please just pay for your flight tickets lol

と彼に言われた。

冗談で全然かまわないが、またすぐ行きたいし彼らにも再会したいなと思った。

というわけでNothing But Thievesの皆さん、また韓国公演やりません~???

 

そういえば彼らは韓国語で낫벗띠(ナッボッティ)と呼んでるらしい。

なんか可愛いのと呼びやすいのとで、話してたら段々定着してきた。

 

 

翌日もライブ前に合流した。

私がチケットを購入してあげた最後の一人と、外国人向けの窓口から購入したという他の友人男性(みんな男性…)達とも顔合わせ。

これまた私の韓国人男性像そのままに、男性達は一杯引っかけに行ったので、私と友達2人でカフェに行った。

日本のお金は0が一つ少ないから何でも安く見えちゃう、分かる!私は韓国のお金は何でも高く見えちゃう!とか、あるあるで雑談が盛り上がって楽しかった。

 

最近日本語の勉強を始めたんだ!と彼女が言う。

いや既にペラペラなのに今更何をと言ったけど、彼女が意味したのは外国人用の日本語の試験の勉強だった。

リスニングは完璧だったけど、読むのは漢字があるからあんまりできない… ここまでは簡単だったけど、ここから先はえーっと、「壁?(私)」かべ!があって、ここを超えるとワーホリ出来るくらいだって!

ワーホリいいじゃん、しちゃいなよー 一緒にライブ行けるよ!と誘惑をしておいた。

 

が、そのあと男性達と合流し、昨日食事した時の寡黙だった方の男性のことを「かなちゃん!この人、私の彼氏」と紹介され、あえなく失恋した。

というか、皆には内緒と言われたけれど、この集団の全員に秘密にしてるのが笑えた。

私だけ知ったことを素直に喜ぶべきですか。

 

私は3Aで先にチケットを取ってしまっていて、彼女達はスマチケが使えなくて一般で取ったため、ライブは分かれて見た。

 

MUSE

というわけでようやくライブです。

とはいえ、非常に申し訳ない事に、彼らの音楽は網羅してはいなかった。

なんとなく某バンドがオープニングアクトを務めたこともあったし、見ておかなければいけない気がして… 昨今、次にいつ見れるか分からないし。

 

なんか以前誰かが、MUSEの音楽は毎日聴く音楽じゃないと言っていて、それだ、と思った。普通に好きだけど、毎日聴くには、なんだかoverwhelming?な感じ。

結局自分の生活と、呼吸と、心拍数に一番しっくりくるのはあのバンドだったようで。

 

でもだからこそ、ライブは楽しめるだろうと思った。

全体を通しての感想は、なんだか美術館で有名な絵画を鑑賞しているような気分だった。

失敗した写真もMUSEならもはや芸術と称せそう。

 

後ろから見ると、楽しそうに自由気ままに踊ってるオーディエンスが見えるから楽しいな。

私が一番好きなバンドのライブではほとんど見たことがなかったな。ひょっとして損してるのかもな。

 

素人でもわかるくらい音が良かった。

もはや、下の階よりも私の立ってるところが特等席なのでは…?と思うほど。

全ての音が、全力で殴り掛かってきた。

真っ先に出た感想、この箱で彼らのライブを見たい

 

1億歩譲って現実的な話にするならば、Radioheadの来日公演はこの箱でやって欲しいと思った。

Burn the Witchの繊細な音の一つ一つをこの空間で聴けたら、その場で昇天できそう。

 

Mattの変態ぶりが良かった。

謎のダンスと、理解の範疇を超えるギター音、そしてカメラに向かってさあ歌え!とばかりにマイクを差し出すこと度々。

3ピースバンドのボーカルって、これくらいクセ強くないとやってけないんですか???

 

スクリーンに映し出されるメンバーにアニメーションが同時に合成された映像、これどういう技術なんだろう。凄くかっこよかった。Green Dayでも見たような。

上手く撮れてないけど…

Chrisの雷のような骨太なベース音が、彼らの音楽を支えているのを目と耳で感じた。

 

でも一番印象に残ったのはこの曲だったと思う。

この曲って、生演奏期待しちゃっていいものだったんですか…??

ロックバンドがギターを置いてピアノに向かう曲なんて、ほとんど小休止的な曲だと思うじゃない。こんなの、ギター片手間に演奏していい代物じゃないよ。

私はギターに関してはちんぷんかんぷんなので、凄いことは分かってても何が凄いのか語る術がなかったけど、ピアノに関しては、これがロックバンドのボーカルが突如披露するレベルから完全に逸脱している事だけは分かった。

いきなりクラシックのコンサート会場にぶっとばされたよ。

 

そっか、彼らの楽曲はオーケストラを駆使して交響曲仕立てにしたものや、既存のクラシック曲をサンプリングしたものがあったけど、奇抜なアイディアに飛びついたのではなく、造詣の深さが生み出したものだったんだな… と、ファンなら周知だろうことに深々と頷いた。

彼らの楽曲への説得力が凄く増した。もっとちゃんと聴き直さなければと痛感した。

 

照明もめちゃくちゃかっこよかったなあ。

 

最後のStarlightの大団円ぶりは、一緒に歌えたらめちゃくちゃ気持ちよかっただろうなーと思った。

 

 

ライブ後に再び合流した韓国の友人たちは、Kアリーナの音質をとても褒めていた。

興奮して大声で語り合ってる男性達を指して、私と意気投合した彼がアプリで「彼らは韓国のライブがクソだと言っています」と渡してきて、どう考えても目の前で繰り広げられている会話量に見合ってない適当さに爆笑した。

実際、韓国ではコンサートに特化したアリーナが無いそう。

K-POPカルチャーがあるのに意外だった。

 

彼らの誉め言葉はエスカレートして、Foo Fightersのフライヤーを指さして、さいたまアリーナの音響は?oasisの東京ドームは?ここを100としたらどれくらい?と質問攻めにされて、焦った。

すまん、そこまで正確に比較できる耳を私は持ってない。

ライブ後の酒の飲み方が玄人過ぎるんよ。

 

横浜は私の住処なので、彼らの終電ぎりぎりまで飲みながらお喋りして、その後駅まで見送った。

久しぶりに再会した彼女だけでなく、男性達とも、初めて知り合ったとは思えないくらいに盛り上がって、別れ際は寂しかった。

 

また韓国に戻りたい。

あの全身に静かに突き刺さってくる冬の寒さが恋しい。

というわけでナッボッティの皆さん、また韓国公演しませんか???

 

【ライブレポ】Nothing But Thieves

またしても某バンドを見に海外に行ってきました。

遂に自国のフェスのヘッドライナーにまで登り詰めた彼らを。

 

メジャーなジャンルに疎いので、同時期にOasisのUKツアーがぶつかるということに直前まで気づかず、今やSNSを開けばあらゆる人が渡英しているという…

帰ってきたばかりなのにすでに今イギリスにいる人が羨ましい。というか共通の話題でそこまで盛り上がれることが羨ましい。

だがしかしそれは叶わぬ願いなので、私はここ(ブログ)に引きこもってだらだらと自分だけの文章を書いていこうと思います。

 

渡英直前に、ロッキング・オン創始者渋谷陽一さんが亡くなった。

色んな人の追悼文を眺めていて、そんな偉大な方との繋がりなんぞ、私にはどうこじつけようとも存在しないだろうと思ったけれど、かくいう私もこの会社のウェブマガジンに文章を投稿して原稿料をいただいたことがあった。

恐れ多すぎて一生捨てられない支払調書。

 

そうか、自分が音楽について文章を書くことに意義を感じはじめたきっかけはこれだったか。そう思うと、私の人生に大きな影響を与えてくれた方に他ならないなと思った。

私に大切なものを一つ下さって、ありがとうございました。

 

さて、彼らのライブレポはこれで何本目?

もはやライブレポと呼べるものになるのかすら自信が無い。

回を重ねるほどに感想の密度が薄くなって行動の記録ベースになってしまうのを痛感している。というか、彼らのライブは行く先々にネタがありすぎて。

ライブの様子だけ知りたい人からしたら全く読む価値のないものになると思うし、もはやファンの人は不愉快にさせるのが怖くて読まれたくない。

まあ何はともあれ、これが集大成だなという気はしている。

 

初めてイギリスに行ったのは2018年のReading Festival。最前列で彼らのライブを見た。二度目は2022年、彼らの故郷を旅した。

この島国には常に彼らとの思い出がある。

 

今回の旅は2月のヨーロッパツアーよりも前に決めていた。いつか彼らがフェスのヘッドライナーを飾る時が来たら、この目で見たいなと思っていたので。

ラインナップがアナウンスされた11月の時点で渡航を即決した。

 

 

ゲリラライブ

着々と渡英の日が近づいてきた頃。

仕事終わりにスマホを開いたら、突如飛び出してきた彼らの公式の投稿に、思考が全停止した。

フェスの前日に、小さなライブハウスで予行練習をするという。

は??? そんなことありえる???

 

なにがそこまで私を動揺させたかって、その日、私の誕生日なんですけど

 

イギリス本土ではアリーナクラスの箱を埋める彼らだ。2,000キャパのライブハウスなんて、速攻売り切れるに決まっている。

対して、私は救いようもない程のネガティブ思考の持ち主だった。

でも自分の誕生日に、イギリスにいながらにして、彼らのライブを見逃すだなんて、到底耐えられない。

うろたえた私は彼氏に一緒にチケットを取ってくれと懇願した。海外に住んでいる友達にも手伝ってもらうことになった。

 

翌日のプレセール、私は18:00販売開始と共にカチコチに固まったブラウザを眺めて呆然としていたら、彼からLINEで「なんか簡単に取れちゃったけどどうする?w」と連絡が来た。

私の手元のサイトはフリーズしたまま、チケットは14分で完全sold outした。

こうして、私の人生で一番最高の誕生日が約束された。

 

再会

結局飛行機は早めの便に変更を余儀なくされて、直前だったので変更料に膨大な額を支払わざるを得なかった。もう予定が総崩れだよ…

しかも渡航当日は飛行機が3時間遅延していて、初めから後ろ倒しのスケジュール。

 

ライブのあるNottinghamには夜の11時に着いた。

もう旅先でもこの時間に平気で外を歩けるようになってしまった。いつか痛い目に遭うに違いない。

 

翌朝。

リトアニアポーランドでのライブに引き続き。

はるばる日本から見に来ている時点で私は十分気が狂っているので、ここまで来たらとことん狂って然るべきだと思った。

ということで、2月と違って日は昇っているし、寒くもないので、朝6時にホステルを出て会場に向かった。

しかしここまでしても最初の一人にはなれないのが海外のライブの恐ろしいところで。

会場に着くと、すでに人だかりがあった。

そしてそんな狂っている集団は、やっぱり私の知っている人達だった。

そう、2月のヨーロッパツアーで出会って一緒に最前列でライブを見た人達。

 

彼女達は私の事を笑顔で出迎えてハグしてくれた。

私は日本人の中ですらフレンドリーな面をしてない方だし、持ち前の卑屈さから、そのキラッキラの笑顔が他でもない自分に向けられていることに戸惑ってしまう。

初めて会うフォロワー達も後から次々と来て、皆ハグで互いを歓迎しあった。

 

ジャケットと会場の看板の写真を撮ってもらった。

超絶暇になることは分かりきっていたので、地べたに座って掲げようと思っていたBest Birthday Everのサインを書いていたら、みんなにお誕生日おめでとうと言ってもらう。

 

リトアニアのライブを隣で見て、Conorに書いてもらったタトゥーの写真を撮りあったオランダ人の子が大麻を吸い始めて笑った。

そうだ、皆国籍がバラバラなので国名を呼称にしよう。

狂ったファンをしている一番の収穫は、各国を代表する狂ったファン達のコネクションが築けたことかもしれない。

オランダ、ベルギー、フランス、イギリス、ドイツ、ポーランドスウェーデン、トルコ、オーストラリア、アメリカ、カナダ、メキシコ、インドネシア、タイ、そして韓国。

最強だ。

いまや彼らの情報は一つも漏らさず私の目に飛び込んでくる。ありがたい。

 

それからやはりこういう集団の中にいると空気が自由で心地よいなと思う。

皆タトゥーも、沢山身につけているピアスも、ただのファッションの一つに過ぎなくて、別に特別視されていないところ。

それから初めてイギリスに来た時に感じたアジア人としての疎外感も、ただのまやかしに過ぎなかったと今では思える。

もはや逆に、自分をユニークな存在とたらしめている要素の一つとして捉えられるようになった。

 

少ししたあと、ふとハッピーバースデーの歌が聴こえてきたので、他にも誕生日の人いるんだーと思ったら、Happy Birthdayの飾りのついたカップケーキを手にしたオランダちゃんが私の方に向かってきていた。

あ、私か。

 

これ、人生で初めてのバースデーサプライズかも。葬式が初めての主役のイベントじゃなくなって良かった~

私の誕生日は夏期休暇にあるから、どの集団にいても自分だけ忘れられることがとても多くて、虚しい思い出しかなかった。

でも人の中心になるのは苦手だから、きっと祝われたとしても素直に喜べないんだろうなーという歪んだ感情もあった。

それがこのサプライズでは、驚いたことにネガティブな感情が一切邪魔をしなかった。それがなんだか意外で、自分にそんなまっさらなポジティブな感情があったことが嬉しかった。

これから先迎える誕生日の度にこの日を思い出すだろうと思う。

もう私には素敵な思い出がある。これは何年先になっても生き続けると思う。本当にありがとう。

 

再会2

午後4時頃。

会場の列がどれくらいになってるのかふと気になったので、最後尾の方まで歩いて行ったら、車庫の方に、人だかりに囲まれた、なんだか馴染みのある人影が見えた。

 

え、まさか。

 

自分の知っている人ではないかと気になって早足になる。

たどり着いて頭が真っ白になった。本当にそうだった。

 

Joeが平然と立っていた。

 

あわわわああわわわ…

彼に会ったら言おうと思っていた言葉が、というか本来は日本で何年も後に伝えるだろうと思っていた言葉が、反射的に口から飛び出していた。

そう、開口一番これ、「ワルシャワでセトリくれてありがとう!!!

 

いやお前誰だよ。

 

自信過剰にもほどがあるだろ。

でもまあ、アジア人数人しかいなかったし、私の英語は相変わらずボロクソだし…

彼は、昨年の5月にオーストラリアでリクエストした曲を、聴きに来たというサインを手に2月にリトアニアに現れた私に爆笑して、頷いて、ポーランドでそれを演奏して、ステージから私にセトリを手渡ししてくれた人だ。

別に私の事を覚えていてほしいと願ったことはなかったけれど、結果的に自分の暴走のせいで、そうであってほしいと願わずを得なくなった。

いや、どんなにネガティブでもそうだと信じたい。

ただ私の認知は通常通りガチガチに歪んでいたので、その時のセトリを持っていてもどうせ彼に会えないだろうと思って、失くすのも嫌だったから持ってきていなかった。

ああ、そして今は思う、持ってなかったから会えたんだろうなと。いい加減こういうの辞めないといけない。

 

次に会えた時にサイン頂戴ね、と言ったらyeahと言ってくれた。

ああ、あの2月のリトアニアポーランドでのステージ上の彼とのやり取りを、何度も脳内で再生してセロトニンを再生成していたというのに、新たなエピソードにこんなにあっさりと上書きされてしまった。

 

友達のところへ戻ってきて、彼に今日が誕生日だって伝えなかったの?と聞かれたけれど、そういうところも駄目だった。

私は大好きな人に今日が自分の誕生日だと直接伝えることも、なんだか身勝手で、相手に強制的にHappy Birthdayを言わせる自己満足に過ぎないと自己嫌悪を感じるので、出来なかった。

とことん面倒くさい人間だった。普通の人間をやれるだけの自己肯定感が欲しい。

 

開場

開場の一時間前位に会場側がバリケードを設置し始めて、なぜか列を2つに分けだしたので、私の周りの集団がざわついた。

なんでも障害者とその付き添い専用のearly accessだという。

あれよあれよという間に、そこに列が長く長く出来ていって、私達は皆唖然。そりゃそうだ、我々は朝の6時から来てるんだから。会場側からしたらそんなふざけたこと知ったこっちゃないだろうけども。

あまり人の障害についてジャッジしたくないけれど、知的障害ぽい人もいて、先に入らないといけない意味とは…と思った。あと絶対シニア勢もそれに含まれている気がした。

 

何十公演も見ている子達でも初めての経験のようだった。私達の方の集団にリトアニア公演にも来ていた杖を突いた男の子がいたので、そこですかさずベルギーちゃんが、「私、彼の付き添いってことにするから!最前に張り付いとくから!3人分はいける!」と声高に宣言して場内に消えた。

そのたくましさに笑った。

 

私はというと、杖を突いた男性と一緒に入ったフランスちゃんの後ろに立った。

どうにか2列目を取れたので、文句は言わないでおこう。

 

両脇のスクリーンに、もはや使い古されて息絶え絶えのワードが映し出されていた。

 

小さなライブハウスは開演前からどんどん熱気に包まれていって、ステージはそれから更に更に小さくて、コンサート会場というよりはもはや集会場のようだった。

何年か前の年末にSpotifyのまとめが出た時、私は自分が上位0.001%のリスナーだという結果を見て、彼らの総リスナー数から計算して、もしも彼らの上位1,000人までのファンを集めたライブが行われたとしたら、私行けるんじゃん、なんて妄想をしてワクワクした。

公演発表から24時間以内にチケットの購入を即決できるような人達の集まりだから、このライブはそれに近いものだったと思う。改めてこの場に入れて嬉しい。

 

Nothing But Thieves

どうやらDead Club Radioは最終回を迎えるようだった。

遂にこの壮大な物語も終焉に向かってしまうのかー

5年越しに彼らに再会した2023年の冬の韓国公演が、もうはるか昔のことのようで、つい最近の出来事のようにも思える。不思議な感覚。

 

最後に見たワルシャワのライブは6,000人キャパのアリーナで、最前列とは言いながらもそれなりに距離があったから、こんな小さなステージに颯爽と登場してくるのが何だか新鮮だった。

セトリはWelcome to the DCCの次にIs Everybody Going Crazy?に戻っていた。 韓国で見た時と同じ順番だ。

あの時は、まだ生で聴いたことのなかったこの4thと3rdアルバムの1stシングルの連続技が信じられないほどにかっこよくて、全身が痺れたのを未だに覚えていて、あの時のあの感覚とはもう全然感じるものが違うことがとても不思議だった。

あの時にステージのスモークの向こう側に朧げに浮かんでいたConorのシルエットは、まだ2年も経っていないのに、幻のように思える。

もうこんなにも馴染み深く愛おしい存在になってしまうとは思わなかった。

 

My one and only sunshine man.

最初出てきた時、両腕びっしりタトゥーで埋めたのかと思ってぎょっとしたよ… 彼の服のコレクションには謎が深まるばかり。

 

なんだか2月からまた一回り大きくなったような気がするけれど、終始ニコニコして楽しそうだった。

君はずっとそうして幸せに生きていてくれ~。

 

Tomorrow Is Closed

この曲はまさに集会のごとく、Dead Club Cityへと誘う牧師Conor Masonを皆が取り囲んで歌う曲。

いままでで一番大きなシンガロングだったなあ。楽しかった。

 

先にサマソニのレポを書いてしまったけど、繰り返し書くと、自分が好きな物に対して、同じかそれ以上の情熱をもった人達に、私は彼らのライブでは常に囲まれてきたな。

本当の大本命の日本での単独公演は未だ来ないが、一体どんなものになるのだろう。

海外ファンに染まり切ってしまった自分が少し怖くはある。

 

Real Love SongのMVを模したライティングが大好きなの。

 

DomとJoeは相変わらず狂ったようにギターをかき鳴らし、ステージ上を縦横無尽に動き回っていて、それがワルシャワと違ってきちんと視野に収まってしまう距離にいたことがとても贅沢だった。

 

I'm Not Made by Designでは私の背後でモッシュが出来ていたらしくて羨ましかった。

私ももう彼らのライブは観なくていい、全力で暴れたい、と思いつつ気付いたらなぜかいつも最前にいる自分に呆れる。

日本でもきっとできるよね?

彼らの音楽ならできるよね?

サマソニFOBの様に、狙って後ろに下がったのに作られなかったなんてなったら悲惨だー

 

Don't Speak、新しいカバー曲だった。

知らない曲だろうが、カバーは必ず動画を撮ろうと決めていた。

なぜなら一度聴いたら最後、彼の歌声は二度と私の耳から離れないし、絶対に残さないと後悔すると分かっているから。

私はアーティストがカバーを演奏するのがあまり好きじゃない。だって彼らのディスコグラフィから聴きたい曲は山ほどあるのに。

でもConorのカバーは、どんな曲であろうとも、彼のその唯一無二の歌声でもって、完全に自分のものへと昇華してしまう。

私にとっては、彼らの新しい曲を聴くのと同じくらい刺激的だった。

 

ずるいなあ。

私はきっと彼の歌声さえあれば、この先どんな音楽を彼らが書いても、自分の一番好きな物であり続けてしまうんだろうなと思う。

原曲を後で聴いたけれど、彼の歌声はもっと悲哀に満ちていて美しかった。

 

リトアニアで全て動画に収めたので撮るつもりが無かったJamで、なぜか後半が謎のメロディーに変わっていた。 不意打ちにも程がある。

後でファンの間で新譜の曲ではないかと話題になった。

彼らはそういうことするの大好きだから、かなりあり得るな…

 

彼らのライブに行けば行くほどに、一曲一曲への冷静な感想が少なくなってしまう。

でもそれぞれの曲を初めて聴いた時の衝撃に勝ることはもう絶対にないから仕方ないよなあ。

私はもしも願いが叶うなら、彼らの音楽を初めて聴いたあの瞬間をもう一度味わいたいよ。

 

彼らのライブはもう観るものではなくなってしまった。

一つ一つが私の血管を流れていって、血肉となって私の身体を勝手に動かしている。

もうすっかり、彼らの音楽と一つになれた気分だった。

とはいえその一瞬一瞬のリアルな快感はやはりその場でしか味わえないもので、記憶力のほうは未だにてんで駄目で、でも動画を撮る頻度もどんどん少なくなってきて…

結局、文字としてアウトプットしようとする前には期限切れになってしまうのがもどかしい。

あの空間に戻りたい。あの曲でまた踊りたい。

 

2月のツアーのアンコールの定番曲だったPop the Balloonが、アンコール前に登場したのも不意打ち。

ダークなバックコーラスからギターに飛びつくJoeがかっこよすぎ。

次のアルバムはheavyなものになるとConorが言ったことで、4thアルバムはポップなサウンドに転換したと一部のファンから批判されていた話題がまた上がっていたけれど、このアルバムの締めくくりのこの曲の破壊力だけで、彼らの音楽が持つ攻撃性は何一つ変わってきてないことがわかるよなあ。

 

今年の単独公演はこれが最後になるから、今年10周年を迎える彼らの1stアルバムについて触れられることを少し期待していたけれど、それがないのがちょっと残念だった。

一体彼らは祝う気があるのだろうか。

ただ自分の中で、過去のアルバムの話題をひっきりなしに持ち出すバンドほど今があまり盛りでないイメージがあるので、このままの勢いで前へと突っ走っていくのならば、それはそれでいいかなとも思う。

 

特別な夜はあっという間に終わりを迎えた。

 

終演後、フランスちゃんと来ていた男性が、Conorが彼に手渡ししたセットリストを私にくれてしまった。

誕生日プレゼントだという。

…。

そんなにハッピーになることが私に許されているのか。

 

終演後。

DomとPhilPriceの3人が車庫のところへ出て来てくれた。

まさか翌日にフェスのヘッドライナーをやる人達が、ライブ後にファンと交流しに出てきてくれるとは思っていなかったよ…

PriceにHappy Birthdayを言ってもらえた。そう、それはJoeの時と違って周りの子が今日この子の誕生日なんだよ!と彼に言ってくれたから…

あとなんか自分が海外にいるのが自然過ぎて、もはやI came from Japanと伝える発想すら消えていた。

 

同じく日本から来ていたフォロワーさんに、ポスターを購入していただいていた。

私は2列目を取ってしまったから身動きが取れなかったので。

しかもシリアルナンバー付きで、150枚しかなかったみたい… ライブ後だったら購入できなかった。頭が上がらない。

 

私の誕生日というものは、自分という人間の惨めさについて永遠振り返る日だったけれど、この日はというと、その趣味に熱心に取り組む時間が全くないまま終わってしまった。

 

 

彼らはNottinghamの翌日に、Oxfordshireでのフェス、Truck Festivalに出演する。どちらもLondonから2,3時間離れた郊外。

一体何を考えたらこんなふざけたスケジュールを投げつけてこれるのか。

彼らはフェスに来れないファンがNottinghamに来て、フェスに行く人間は見送るだろうと思っていたのか。どうせ両方来る奴いるんだろとでも思っていたのか。

彼らに試されているような。

舐められているような。

 

Truck Festival

私がフェスの会場に着いたのは午後3時半を過ぎた頃だった。

正直昨日のライブでもう満ち足りていたので、別に前で見れなくても構わないやと思っていた。

とはいえ、グッズのトートバッグを買ったら、目当ては彼らの他になかったので、そのままメインステージへと向かう。

まだステージの周囲の人はあまり密集せず地面に座ってくつろいでいたから、あれよあれよという間に前方までサクサク進めてしまって、そしてその最前列のバリケード前には、昨日会った見知った顔が勢ぞろいしてた。

 

君達のその体力と執念、一体どこから来るの。

 

彼らに試されているというか、と書いたけれど、こちらもどこまでもギラギラと血走った目で笑顔でしがみ付いてきて、彼らを試し返しているみたいだな。

前日のNottinghamにいた顔ぶれがまた全員最前列に勢ぞろいしてたら、もはや彼らも怖くね?

おーKana来たーYayyyyとまた笑顔で出迎えてもらって、ドイツちゃんに「私背低いから後ろに立ちなよ!」と場所も確保してもらった。

 

予定していたThe Big Moonよりひとつ前のセットから見ることになった。

 

The Big Moon

ボーカル妊娠してたよ。ロックだな。

楽器をかき鳴らしてる女性達って、なんであんなにかっこいいんだろうね。

 

彼女達の終わりに差し掛かった時、オランダちゃんが近くの最前列に立っていた男性を指さして、あの人big moon目当てだって!どくよ!代わってもらいな!と、脳が状況に追い付いていない私の腕を引っ張っていって、彼に「この子と!この子と変わって!!!」と叫んだ。

彼と入れ替わりで、空いた一人分のスペースに、私がすっぽり収まった。

 

はい?

 

海外のライブはいつも朝早くから会場に臨んでいたのに、ここにきて、3時半から合流した、完全にフェスを舐め腐っていた人間が、すんなりと最前列をゲットしてしまった。しかもステージのど真ん中の。このフェスで一番の特等席を。

 

オランダちゃんの行動力は本当にすさまじいなと思った。

それからこんなに可愛い子の性格がこんなにめちゃくちゃに良かったら、私なんかには一体何が残るんだろうと思った…

 

しかしながら、それと共に、背後に大勢の集団を従えた状態での、彼らのセットまでの5時間の待機が確定されたわけで。

私の不安障害は相変わらずだったので、喉は乾いていたけれど、バリケード前からセキュリティがこちらにバンバン配ってくれる水には一切口を付けられなかった。

 

The Reytons

予習していて普通に好みだったので楽しみだった。パワフルなパンクロック。

日差しに照らされた彼らのステージは、これが夏フェスだったということをようやく思い出させた。

ステージ上で噴出していた炎からでる熱風がほんとに熱くて、この距離で熱いならステージの彼らはよく耐えられるなと思った…

バリケードにばんばん叩きつけられて腕が真っ赤になったけど、なんだかそれが最高に楽しかった。

 

Blossoms

彼らが凄い良かったの。

もう帰国してから1万回くらい言ってる気がする。でも好きなものや良かったものを語るのは精神衛生上良いので自重しません。

The ReytonsとBlossomsに救われたなと思う。ヘッドライナーだけが目的だったなら、フェスでこんなに長い時間楽しむなんてことは絶対に出来なかった。

 

楽曲は昔から聴いていはいたものの、ここ数年の活動は追っていなかったし、ライブはこれが初めて。

だからこそ、一曲目から一気に彼らの世界観に持って行かれたし、いや、もはや彼らは観客全員を惹き込んでいたね、きっと。

ヘッドライナーの前だとか、そんなことは我関せずといった感じで。与えられたステージを完全に自分達のものにしていた。

ボーカルのTomがやたらと変なポーズを決めてて、自身のイケメンぶりを台無しにしていて良かった。

 

キーボードのMylesの服装が可愛かった… 天使かな?

 

というか…

なんか、おかしな方向にカリスマ性が磨かれてませんか…?

 

…と思ったけど、彼らの過去のMV見てたら思い出した。このバンドは昔からイケメンの無駄遣いだった。

 

夕日に照らされて黄金色のステージはキラキラ輝いていて、時間帯的にも彼らにぴったりだったなと思う。

いやでも足なっが!!!我らがフロントマンが余裕でくぐれてしまうのでは…?

 

彼の伸びやかな歌声がひたすら心地よかったー

次いつ見れるか分からないから動画がっつり撮ったよ… スマホを見ずに動画を撮れるのは最前列の特権だ。めちゃくちゃ見返している。

ステージを堂々と闊歩するTom、安定したベースラインと共に、彼にパワフルなコーラスを加えるCharlie、とても楽しそうにドラムを叩くJoe、クールに淡々とギターを刻むJosh、これぞBlossomsたらしめるサウンドで彩るMyles、(そしてイケメン〜〜最後に1人だけサングラス外してくれてありがとう〜〜)それぞれが個性に溢れていて素敵だった。

 

1時間、15曲の、最高のエンターテイメント

 

充足感が半端なかった。

観るに徹底したライブだったからこその楽しさが、そのあとの彼らのセットとは全く余韻が重ならずにいつまでも残っている。

 

日本で盛んに売り出されていたバンドは、自分が好きになる頃には軒並み放置されるようになるんだけど、日頃の行いが悪いんでしょうか。

どうかまた日本に戻ってきてください。

 

Nothing But Thieves

夜9時半のスタートも、日が落ちて暗くなるのが遅い夏のヨーロッパには相応しい。

ようやく薄暗くなってきたステージにスモークがたかれて、彼らの為の雰囲気は完成された。

 

そこに私のお馴染みの5人が登場した。

昨日の小さなライブハウスで私達が取り囲んだ気さくな5人が、今度はヘッドライナーとしての威厳を身に着けて。

いつだって全身の血が沸き立つ、最高に好きな瞬間。

黒ずくめの3人に囲まれてフロントマンが昨日の服で出てきたのは本当にそれでよかったのかとは思った。

 

これが私の中で彼らの集大成の気持ち。

今まで本当にいろんな場所で見てきたなあ。

韓国では遠くからだろうが再び彼らのライブを見れた感激は忘れられないし、メルボルンでのスタンド席からの眺めも決して悪くなかった。

サマソニはステージが遠かろうと、記念すべき彼らの来日公演を見れた喜びは消えない。2月は2公演とも最前列を死守した上に、ステージ上のJoeとコミュニケーションまでとれてしまった。

どこから見る彼らも大好き

 

けれども一つだけ初めてだったことがある。

そう、一曲目のWelcome to the DCCで、私が世界で一番大好きなバンドの、初めての、ヘッドライナーの証の紙吹雪を、真正面から浴びた。

 

彼らの音楽と、私の間に、遮るものは何も無かったから。

ステージの上で掻き鳴らされる音楽の全てが、勢いそのままに私の全身に突き刺さってくる。

 

If I Get High

何度ライブに行っても毎回この曲の動画を撮ってしまう。まるで天国にいるみたいな、幸せな気持ちになれるから。

今までで一番神々しい動画になった気がする。

 

もうこの曲はステージなんか見てる曲じゃないんだよ、、、、、、涙

 

このTruck Festivalは彼らが初めて出演したフェスで、「12年越しにヘッドライナーとして戻ってきたぞー」とConorが誇らしげに言っていた。

 

Sorry

いつも歌うのに夢中で何気にあまり撮ってなかったSorryを撮っていたみたいだった。私が彼らに出会った2ndの曲達には、いつだってエモーショナルな気持ちになる。

自分自身を表現している太陽のステッカーを貼ったギターを弾くConorが好き。

 

前日撮れなかったJamの謎メロディーも収められた。

なんだこの脳天に雷が落ちてくるみたいなサウンドは。これが新譜の方向性だというのなら、楽しみで仕方がない。

このUnpersonの私達ほんとに楽しそうだなあ…

 

Impossibleでは両隣と肩を組んで皆で歌った。

 

前日のライブとこのフェスでの物販の売り上げは全てユニセフを通してガザ地区に寄付するそうだった。

その事をMCで口にするConor。だからいつもはあんまそういうこと言いたくないけど、今回はグッズを買うのをおすすめするよ、と。

そういえば、Fontaines D.C.やYUNGBLUD等、MCで声高に世界情勢について叫ぶアーティストがいる一方で、彼らは楽曲では強烈な政治色を見せるし、彼自身もSNSでよく怒りを露わにしているけれど、ライブという場での主張はしてこなかったなあと、ふと思った。

彼がそういうことを語る姿の方があまり想像できないな。

 

最後のOvercomeの紙吹雪で、自分で思わず笑っちゃっててウケた。

やっぱりどんなステージでも通常運転のConor Masonがいた。

 

僕は自分がかっこよくなくて構わないんだ

 

2017年に彼が口にしていたその言葉を思い出す。

その言葉そのままに、すこしはにかみながら一言二言喋って、音楽に身を任せてよく分からない踊りを踊って、4人の仲間たちに囲まれながら、楽しそうに、そして最強の歌声を響かせている、まあきっと、それも君の一部でしかないんだろうけど。

そのまま自由でいてほしい。

 

公式カメラマン達の写真を漁っていたら、友達と自分の写真が何人もの人に撮られていた。

最前列の人達のなかでとりわけ楽しそうに見えたのかな~~

自分では撮れないし、お願いして撮ってもらっても捉えられないような表情だから嬉しい。

 

楽しかったー!

 

それに尽きた。

ただそれと共に、切なさも感じた。

なんとなく、彼らは自分にとってどこまでも追いかけていたい存在ではないのだろうなと思った。

2年前までの数年間、彼らのライブを切実に求めていたあの渇望が全て、代わりの充実感ですっかり満たされたのを感じたから。

 

だからこの夜のライブを見ながら、自分の中で、これで一区切りだなとゆっくり思った。

私はこのフェスで一番の場所に立って、彼らのライブを一番楽しんでたぞ!

そう確信できたライブだったし、そんなライブで終わらせられて良かった。

素敵な2年間をありがとう

 

まあ、ネガティブな私はそうやって、なにかとこれが最後かもしれないと考えがちだけれど、彼ら自体はしきりに新しいアルバムの話をしていたし、新曲の断片も聴けたし、Conorはソロプロジェクトに取り組んでいる。我々ファンに全然休みをくれないな…

またそう遠くないうちに見れるのではないかな。あまり深く考えずに気楽に待とう。

 

友達とは彼らを見たその夜に別れた。

私はフェスは1日しか見る予定が無くて、翌日には彼らの故郷を再び訪れることにしていたので。

素敵な人達に囲まれた、幸せな2日間だった。

 

ただ単にパニックになっていただけだけど、Joeに、あの時のことを覚えてる?でもなく、唐突にセトリありがとう!持ってくりゃ良かった!次に会えた時にサイン頂戴ね!とまくし立てた自分、はたから見たら本当に自信満々だったな。

 

次に会えた時かあ。

自分がそんなポジティブなこと口にするなんて可笑しいな。

そうだなあ、少なくともまだNext timeはあって欲しいな。

 

また情熱の尺度の10,000字をゆうに超えたので、これで終わりにしようと思います。

 

【ライブレポ】SUMMER SONIC 2025

SUMMER SONIC 2025に行ってきました。

先月イギリスの某バンドのライブを見るのにかなりお金を費やしてしまったので、本当は行くのをやめようと思っていたけれど、チケットの引き取り先がついぞ見つからなかったので、腹をくくって行くことにしました。

まあその某バンドが昨年出演したらしいフェスなのでね、これもいわゆる聖地巡礼だよね。とんでもなくこじつけのポジティブ。

 

行くのをやめようと思ったもう1つの理由には、ヘッドライナーのFall Out Boyのメンバーで自分が愛してやまないギタリスト、Joeが来日しないことがあった。

このユーモアたっぷりで、ちょっと捻くれてて、でもとても優しい人物が大好きだった。

ライブではPeteの方がとかく人気なので、最後の曲Saturdayで彼に群がる人の隙をついて前へと繰り出し、Joeの手元やタトゥーを観察するという変な趣味もあった。

彼のギターのアレンジやコーラスの一つ一つも大好きだったから、彼のいないFOBなんぞ、ルーのかかっていないカレーみたいなものだと思った。

残されたのは、里芋が乗った白米。

 

前日にふと思い立って、彼の顔の仮面を作って被ることにした。

Joeがいなければ、私がJoeになればいい。

 

当日は終日彼の顔を被っていた。

でも推しの目に穴をあける勇気はなかったので、前だと見えないので後頭部に憑依させていた。ハリーポッターに出てくる悪役教授みたいな感じ。

 

こういう意味不明な行動力はあるんだな。

日常生活のどこにも活かす場がない行動力はな。

そしてこんなふざけた奴と平然と行動を共にして下さった方々、ありがとうございました。

 

会場にはFall Out Boyの様々な年のグッズを身に着けた人が沢山いて、それを眺めながら彼らの歴史を辿ったりした。

私は断捨離でその殆どを手放してしまった。

 

 

とりあえず友達が本命だというHot Milkから見ることに。

Hot Milk

遠目から見るはずが、引き寄せられるように気が付けばモッシュピットに。

しかし本命のヘッドライナーでこの輪に入る前に体力を使い果たしてはいけないと、我に返って途中から抜けた。この後悲劇が待ち受けていることも知らずに。

 

パワフルな女性ボーカルが強く印象に残った。

サウンドから勝手にアメリカ人かと思いきや、マンチェスター出身だとMCで何度も言っていた。

楽曲のジャンルがダイバーシティ化し、風土や年代に縛られず新しいものが産み出されていくのはこの時代の良い点かも知れない。

音楽知識一切無いから適当だけど。

 

その後は飯ソニックからの、高校時代から聴いていて、いつかライブで見たいと思っていたamazarashiを見にソニックステージへ。

amazarashi

もたもたしていて冒頭数曲を逃したけれど、いきなり大本命の曲を演奏してくれた。

 

僕が死のうと思ったのは

 

おおう、フェスにおあつらえ向きなアップテンポの曲ではなく淡々とこの曲を用意してくるあたり、確固たる意志を感じるな。

基本情報一切知らないから適当だけど。

 

僕が死のうと思ったのは
靴紐が解けたから

 

普通の人間やっててこんな歌詞がポンと出てくるか???

シンガーの繊細な感受性や鋭く研ぎ澄まされた洞察力、そして捉えたものを文字に出力して躍らせる大胆な創造力に脱帽する。

 

見えない敵と戦ってる
六畳一間のドンキホーテ

 

私は常々語彙力の高い曲が好きで、彼の楽曲もその中の一つだった。

この世に掃いて捨てるほどある歌の中で唯一無二の輝きを放っているし、なんと言ったって没入感と共感が桁違いだから。

こんなに歌詞のぎっしり詰まった曲達をライブで歌いきれるんだろうかなんて考えたこともあったけれど、そんな勘ぐりは大きなお世話であって、彼の歌いあげっぷりは音源のそのままだったし、ハリのある歌声には心を大きく揺さぶられた。

この曲を聴けただけでもうサマソニに来た価値があった。めでたしめでたし。

それから銀河鉄道の夜をモチーフにした曲、スターライトも聴けてよかった。

 

その後はその場にとどまりBloc Partyを見る。

Bloc Party

オーディエンスの一体感が半端なかったー。

日本に来なかった長い期間に溜まったフラストレーションを大爆発させたようなエネルギーを感じて、とても快感だった。

後になって今回のサマソニを振り返ると、自分の好きなものに対して、自分と同じかそれ以上の情熱を持った人達に囲まれる心地よさがいかに尊いものかを痛感する。

 

とはいえ、ヘッドライナーのセットに備えて、ここからは途中で退散した。

マリンステージへと向かう。

このフェスのこの導線が好きじゃない。

幹線道路に出ることで、一度一気に日常に引き戻される感が。

 

Fall Out Boy

超有名なアーティストはあまり聴かない自分にとって、推しがヘッドライナーに上り詰める快挙への感動はひとしおである。

 

Bloc Partyを途中まで見てから行く時点で間近で見ることは出来ないし、一番の推しのJoeもいないので、初めからモッシュピットで踊り狂う気満々でいた。

 

自分がモッシュピットが好きな理由は2月にGreen Dayのライブを見た時に書いた。

音楽に浸れば浸るほど、なんだか他の情報がうるさく感じられて、気が付けば目を閉じてしまっている自分がいて。

常々、この鳴り響いている最高の音楽を全身に浴びたい、自分という人間を脱ぎ捨ててこれと一つになりたい、と思っていて、初めてモッシュピットに飛び込んだ時、なるほど、これはかなり一つになるに近しい行為なのではと感じた。

何物でもない、音楽だけが私の身体を動かしている。

全てがもみくちゃなので、誰からも認識されない。自意識も飛散して消えていく。

自分が無になる。音楽に溶けて存在しなくなる。

 

Green Dayモッシュピットにトートバッグで挑んで遠心力で爆死したので、ライブで人気のユニクロのショルダーバッグを買っていて、靴紐も解けないように結び直して中にしまった。

 

Joeなのでもちろん左側に来ましたよ。

 

どんなコンセプトか分からないけれど、病院のベッドを表現しているであろう場所からPatrickが起き上がり、ステージへと出てくる演出でライブは始まった。

そして何百回と繰り返し再生したお馴染みのMVを再現する動画がスクリーンに映し出される。

Grand Theft Autumn/Where Is Your Boyからスタート。

 

もしかして、アルバムをリリース順に追っていくコンセプト?

Taylor Swiftのライブには行かなかったからただの想像だけど、これはもしや、The Eras Tourなのでは???

最近の彼らの情報一切知らないから適当だけど。

 

 

せっかくだからこの流れに合わせて、彼らと自分との繋がりも振り返っておこうと思う。

 

私が彼らの音楽を知ったのは、彼らが活動を停止していた時だった。

もう解散したとすら、まことしやかに言われていた時だった。

(というわけで、1stアルバムの時からライブキッズしていた方達からしてみたら、私も古参でもなんでもないし、加えて最近も離れていて最新アルバムにも耳を通していなかったレベルの人間なので、今やファンを語れるのかどうかも怪しい。なので本腰入れて読まなくていいです)

 

供給のない中、私はひたすら彼らのアルバムを聴き漁り、MVを繰り返し見ていた。大好きなJoeのTwitterの呟きを全て遡って読み、彼のブログも読み漁った。

 

2013年に彼らは活動再開。

大学受験に失敗し打ちのめされていた私の元に忽然と姿を現した彼らは、とても眩しかった。

 

戦いの火ぶたを切って落とすような躍動感溢れるイントロから始まる、アルバムSave Rock And Rollの1曲目The Phoenix

 

Hey, young blood, doesn't it feel
Like our time is running out?
I'm gonna change you like a remix
Then I'll raise you like a phoenix

なあ、時間はもう残されてないぜ
曲をリミックスするみたいにお前を変えて
不死鳥のように蘇らせてやる

 

ずるいよ、こんなかっこいい復活の仕方。

 

The war is won before it's begun
Release the doves, surrender love

戦いが始まる前から
勝利は約束されてる
鳩を放って
愛に跪け

 

浪人時代のBGMは彼ら一色だった。

彼らは翌年、私の2度目の大学受験の最中の2月に来日ツアーを発表して、それをどうしても逃したくなかった私は、誰にも文句は言わせまいと、直前のセンター試験(死語になっていそうで怖い)で滑り止めの大学4校全てに合格判定Aを揃えて、ライブを見に行った。

勿論向かったのはステージの左側。初めて肉眼で見るJoeは、かっこいいを通り越して神々しかった。

 

復活後の彼らは、批判の声の一切に耳を貸さず突き進んでいった。

新たな音楽性に果敢に挑戦していた。

復活作Save Rock And Rollと、その次のAmerican Beauty / American Psychoと、続くMANIA

ひたすら脇目も振らずに駆け抜けていくようだった。

その後ろ姿に惚れて、私もひたすら彼らを追いかけていた。

 

それでも彼らは、一度成功した古いアルバムがいつまでも引き合いに出されるバンドとは一線を画し、新しい音楽性でも着実に成功を収めてきた。

それが、ここに来て彼らは、彼ら自身で、過去のアルバム一枚一枚を、まるで宝箱から宝石を取り出して並べるように、丁寧に振り返っていこうというのか。

 

そんなの、大歓迎ですよ。

 

ただ、正直一曲目の時点で、なんだか周囲の空気がかつてと違うのを感じる。

大分前の方まで来たはずなのに、自分の周りが常にスカスカ。ノリもあんまり。そんな…

嫌な予感が一曲ごとに確信に変わる。

Arms Raceは???流石にこの曲はみんな分かってるよな???

蒸し暑さの汗に冷や汗が混じる。

が、この曲もさらっと流れて消えてしまった。

この曲のサビなんか、モッシュピットでめちゃくちゃになる為にあるようなもんじゃんか、、、

 

Sugar, We're Going Down16 CandlesDance DanceThnks fr th MmrsI Don't Care、大勢で踊りたい曲は沢山あった。

行き場を失ったエネルギーで、私はひたすら一人でジャンプしていた。

え、ヘッドライナーって、こういう感じなの…?

 

Infinity On Highのスタートに、羊のFranklinが空を飛ぶ。

私がブックレットがボロボロになるほどに愛していたアルバムアートワークの。

 

その愛はあえて語る必要もないと思う。この作品を見てもらうだけで。

 

活動停止前の彼らは成功を収めていたものの、常に周囲の目を気にしていたのではと思った。

ライブでは残念ながら聴けなかったけど好きなThrillerThe Take Over, The Breaks Overの歌詞にある。

 

We dedicate this album to
anybody people said couldn't make it

To the fans that held us down 'til
everybody came around

俺たちにずっとついてきて来てくれたファンにこのアルバムを捧げる

 

But don't pretend you ever forgot about me

忘れたフリなんてしないでくれよ

 

それからライブの定番のThis Ain't a Scene, It's an Arms Raceは、彼らを囲っていたゴシップをMVのネタにして、音楽性を変えてしまったと聴き手に思わせつつ、サビでどんでん返しを用意する。

 

続いてFolie a Deuxの謎の二匹のクマがステージ中央に登場した。

このアルバムこそ、たった独りで聴いている気分だった。

このアルバムで失墜して活動停止に追い込まれたんじゃないかと邪推する人がいた中で、彼らの楽曲を語るうえでわざわざこのアルバムを持ち出してくる人は殆どいなかったから。

それがこんな愛されキャラみたいなノリで復活を遂げていてなんだか嬉しい。

 

Disloyal Order of Water Buffaloesからの、I Don’t Care

 

Nobody wants to hear you sing about tragedy

誰もお前の歌う悲劇なんか聴きたくねえよ

 

The best of us can find happiness in misery

自分達の良いとこは
惨めさの中に幸せを見出すところ

 

自虐的な歌詞が、復活後の歌詞と対比すると更に滑稽で好きだ。

大声で一緒に歌って楽しかった。

 

やっぱり格好良くてたまらないThe Phoenix

 

コンセプトに沿って演奏していくライブの痛い点は、次の曲が自ずと分かってしまうところだなと思った。

MCで曲名を聞いて喜ぶとか、イントロで察して悲鳴を上げるとか。そういうのが無いのがちょっと勿体なかった。

でもこのコンセプトだからこそ、アルバムのジャケットを模したステージセットが用意されたのだから、何も文句は言えない。

 

そして、だからこそ、MANIAの途中にぶち込まれたWhat A Catch, Donnieの不意打ちの演奏には度肝を抜かれた。

そこからメロディーが変わってPatrickが弾き始めたのは、なんとGolden

ピアノが出てきたところで、ああ、あの曲をやってくれたらいいのになあと思ったその曲を。まさか2025年に聴けるなんて。

なんて最高なプレゼントだろう。彼のピアノの音がいつまでも脳裏で反響している。

 

その前のThe Last of the Real Onesの始まりではPatrickが酷く苦戦していたけれど、分かるよー。

ギターやベースやドラムの知識は皆無だけどピアノだけは経験してきたから、弾き語りの難しさはすごく分かる。

でもだからこそ、音源を流して終わりにされがちなこのパートの生演奏を聴けるありがたみも桁違いだ。

 

小柄でふくよかで、ちょっとぎこちない感じの彼に、先月見たばかりのバンドのフロントマンの姿が重なった。

PatrickConorも、大好きな人たちに囲まれて、大好きな音楽をやって、ずっと幸せに生きていてくれー。

 

PeteがMCで、Linkin ParkMetallicaがヘッドライナーを務めたこのフェスでヘッドライナーをやれて凄く光栄だと言っていた。

Andyは予想外にも右端にドラムセットが置かれてしまったから、殆ど見れなかったなあ…

 

 

ああ、やっぱり一番楽しかったライブの数々の思い出がフラッシュバックしてしまうよ。

切ないな。もどかしいな。

どうしてもこの夜のライブは、演出は群を抜いて最高だったけれど、私の見てきたライブの中で上位には残れないものだった。

 

ずっと聴いてきた彼らのライブを遂に見れた、2014年。

今でも初めて見た髪を振り乱してギターを掻き鳴らすJoeの姿が記憶に残っている。

 

大学生活に慣れてきた頃、髪を緑にして飛び込んだ2015年。

空港で4人に会うこともできて、Joeに自分の描いたイラストを渡せた。

 

幕の代わりに躍動感溢れるスクリーンが用意されていた2017年。

Patrickの日本語が愛おしかった。

モッシュピットでひたすら踊って、最後はJoeめがけてダイブした。

 

武道館で見た2018年。もう彼らのライブは観るものではすっかり無くなっていた。

 

彼らを最後に見たのは、2018年のReading Festivalのヘッドライナーだった。

2014、2015、2017、2018とライブを見てきて、初めて海外で見た彼ら。

その時はモッシュピットはおろか、私から見えるステージの彼らは豆粒で、殆どスクリーンに映る彼らの方を見ているような距離にいたのに、知らない土地で、たった一人で見ていたのに、彼らがステージに立っているだけで、それだけでもう、なんだか安心できた。

古くからの友人のような、ずっとそばにいたぬいぐるみのような安心感。

 

それが、7年越しに、今度は再び自分の国で、しかし揺れ動く大勢の手の波の間から見る彼らは、なんだかちょっぴり遠くへ行ってしまったように感じた。

私の周りを囲む海は私の知っているかつての彼らのファンではなくて、そしてそれがこの夜のライブを形作っていたから。

 

Bloc Partyで書いた文を振り返ると、反対に、自分の好きなものに対して、自分と同じかそれ以上の情熱を持った人達がいない空間に閉じ込められるのは悲惨だ。

 

でも良かったことで言ったら、復活後すぐのライブではどうしても盛り上がりに欠けていたMy Songs Know What You Did In The DarkやThe Phoenixはもうとうの昔に定番化したかのように、観客の反応が全く変わっていなかったこと。それどころか、更に盛り上がっているように思えた。

ああ、きっともう、彼らが活動停止をしていた事実を知らないくらいの新しいファンが、次々と生まれているんだろうなと思った。そりゃそうだ、もう10年以上も前だもの。

 

素晴らしい作品というものは、時の流れに従って消えていくものではなく、人がそれと出会う時に、その度にまた美しく輝きを放つものだと思う。

まさに彼らが自身のベストアルバムに冠したタイトルBelievers Never Die、それが同じ意味を持つじゃないか。

 

最後の二曲ではスクリーンに昔のバンドのモチーフが散りばめられていて最高だった。

 

ライブの最後はやはりSaturdayで締めくくられた。

初めは過去を振り返るようなコンセプトに、あたかも集大成のような気配を感じたけれど、彼らの勢いには、これから先もいつまでも期待していたくなるようなライブだった。

 


一日の終わりに自分と似たような感想をXで呟いている人を見た。

そしてそこに群がる同意と批判、冷笑の声。わざと相手を不快にさせる言葉を使ってくる人達。

 

私はもうこのSNSが好きではない。

まるで常に学級会が開かれている教室の中にいるようで、息が詰まるから。

普段机をくっつけて語り合う仲間たちと愚痴を言い合っていたら、そこに学級委員が来て勝手に持ち出し、黒板に貼り出す感じだ。

「はい、次はこの議題です。皆さんどう思いますか!」と。

 

人がどんな風にライブを楽しもうが自由だし、こうあるべきと言うつもりはないけれど、日本のライブで良く言われている大声で歌うなと、暴れるなという風潮にはいつも苦しくなる。

なぜならその反対のオーディエンスの方が、アーティストが喜んでくれるだろうことを知ってしまっているから。

 

Nothing But ThievesのConorが韓国公演で口にしていた言葉が忘れられない。

「君達最高だよ、歌詞を全部歌ってくれてありがとう!全部聴こえてるからね!」

そして彼らが韓国のことを愛しているのが完全に伝わるくらい、韓国のファンは熱狂的だった。

 

ヘッドライナーを飾る彼らを、もっと猛烈な愛で迎えてあげたかったという心残りはぬぐえなかった。

 

それでも、やはりこのバンドは、私の大切な場所にいつまでもいてくれる存在だなと再認識できるライブだった。

もし世界が崩壊しかけている時に直面したら、きっと彼らなら私の腕を取って、一緒に逃げてくれるだろう。そんな信頼感はまだ消えてはいなかった。

振り返ったアルバム一枚一枚、それぞれが、自分の過去と密接に関わっていて、そしてこれから先もずっと自分の血肉となって支えてくれるんだなあと、そう思えた。

 

やっぱり私はこのバンドを、深く愛している。

 

呪い

朝が一番つらい。

悩み事が眠いとかだけならどれほどいいか。

身体が空っぽなのに鉛の様に重いのはどうしてなのか。

 

彼らのライブレポに、セトリにサインを貰うまで生きなければならない的なことを書いたけれど、あれは別に大袈裟に書いた文じゃない。

幸せだし、今消えてしまえたらいいのにと、虚無感でいっぱいの毎朝思うけれど、私が死んだらこのセットリストはどうなってしまうんだろうと考えるし、きっとまた彼らに会えた時にこれを見せたら、絶対に彼はこの時のことを思い出して、笑ってサインを書いてくれるだろうから、それまで死ねないと思う。

何年だって待つよ。

 

自意識過剰だと思われても別にいい。

これが私の救いだから。

いや、呪いでもあるな。

 

自分が手渡した紙一枚がこんなものと化しているなんて彼は知りもしないだろうな。

 

【ライブレポ】2月まとめ

嵐のように大荒れだった2月を、脳内で何度も再生しているうちに、3月ももう終わってしまう。

もともと洋楽ファンを翻弄させていた来日ラッシュに加えて、勝手に地球の反対側まで見に行くライブを追加するという救いようもないことをしてました。

でも全く後悔していないです。

 

Nothing But Thieves (2/8,10)

今年のベストアクト。

 

Linkin Park (2/12)

帰国したその日に即ライブ。

全く後悔していないです。

 

Sigur Rós (2/15)

2日後にまたライブ。

ゴリゴリのロックを浴びたあとのオーケストラ。落差が凄い。

スケジュールがみちみちだから疲れて寝ないか心配だった。結果、寝ずに済みました。頑張った。

4曲目に到達した時点で、近くで安らかな寝息が聞こえた。

 

少し前にブログに書いたけれど、これは映画を見るのに近い体験だなと思った。

暗闇の中で、身動きしないまま、全身に芸術を浴びる。圧倒的に受動的な行為。

自分の存在が無になるような感覚

彼らのライブの様に、一緒に声を張り上げて歌うことも無いし、もちろんメンバーに気づかれているなんて自意識過剰も発症しない。

ああ、この感覚、凄くいい。

月に一度の頻度で味わいたいくらいだ。それこそメンクリに通うみたいに。

 

Jónsiの歌声のない曲を選ぶのもどうかとは思うけども、夢の中で聴いた事があったVarðeldurを聴けて嬉しかった。

アイスランド出身の彼らの音楽は、きっと雪と氷に閉ざされた冬の景色が背景にあるのだろうけど、それらを経験したことが無いからか、私の中ではなぜか、真夏の夜を想起させていた。

涼しい風の吹く真夜中に、月と星々の光だけを頼りに、森の中を、素足で彷徨い歩いている気分。

でもアイスランドもいつか訪問してみたいな。

 

AURORA (2/17)

一日開けて、また東京ガーデンシアターへ出向いた。

 

Fontaines D.C. (2/23)

昨年旋風を巻き起こしていたバンド。私は嫉妬しまくってましたが。

ある意味、楽しみ!という、悪い意味でも強力なストレスのかからないライブというものは、それはそれで気楽に見れて良かったかもしれない。ってなんかボロクソに言ってるように聞こえる?すみません。

普通に楽しかったので、結果的に見れて良かったです。

 

インドネシアのフェスで会ったNBTのファンの子が日本に見に来ていたので、再会した。

プレゼントを貰った。

しつこいくらいに言っている気がするけど、日本の外に、私に会ってくれる人が沢山いる。これは絶対に当たり前のように感じたくない。

私の英語はまだまだボロクソだけど、沢山の出会いをくれたのだから、少しくらいは自分のアイデンティティの一つとして捉えてもいいんじゃないかなと思う。

 

新譜はそれなりに聴いていたので、それらの演奏の始まりには周りのオーディエンスと同じくらいおーっと歓喜した。

前の方で見ていた人達の動画を見たら、ボーカルGrianの歌声が殆ど入っていなくてびっくりした。

やっぱり前の方が音が悪いというのは本当だったんだね…

それとこの、オーディエンスのど真ん中で肩車してもらおうと思えるメンタルが凄く羨ましいと思った。ライブ中に余計なことが頭をよぎりがち。

 

彼女はDeegoのファンだった。

彼、名前Conorだったのね。メンバーに2人いるなあとは気づいていたけど。

彼女に撮った写真やSNSを見せられていたら、なんだか私もファンになってきてしまった。可愛いな。

 

Green Day (2/25)

いやー最高に楽しかった。

家から徒歩圏内だけどキャパ的に自分とは無縁の会場だと思っていたKアリーナで、初めて見るライブ。

どうせ仕事終わりだから前には行けないので、もうここはモッシュピットで踊り狂うしかないとはじめから決めていた。

 

モッシュピット、好きなんだよね。この歳でそんなことあんまり書きたくないけどさ。

だってディッキ履いてツーステ決めますとかライブ前に呟いているアカウントなんてみんな痛々しいと思ってるでしょ。何しに来てんだよって。まあ最近はあまりアプリ開いてないから見てないし、まだ存在してるのかも知らないけど。

私だって初めてモッシュピット見た時は、なんでステージ見ないで勝手に暴れてんの?!迷惑!としか思わなかった。

でも音楽に浸れば浸るほど、なんだか他の情報がうるさく感じられて、気が付けば目を閉じてしまっている自分がいて。

初めてモッシュピットに飛び込んだライブはFall Out Boy

常々、この鳴り響いている最高の音楽を全身に浴びたい、自分という人間を脱ぎ捨ててこれと一つになりたい、と思っていて、なるほど、これはかなり一つになるに近しい行為なのではと感じた。

何物でもない、音楽だけが私の身体を動かしている。全てがもみくちゃなので、誰からも認識されない。自意識も飛散して消えていく。

これもこれで、一つの無の形だ。

私が音楽に溶けて存在しなくなる。

 

なんかこの動画もはや芸術度高くない?

ただのバックアップとして投稿してるけど、地味に500人以上に見られてて、高評価もされててウケる。

 

モッシュピットが出来るあたりの空間は割と穴場でもあって、前の方と違って人がぎちぎちに詰まっていないから、曲調があまり激しくない時は自由に踊れたりもする。

自分と同じ熱量でその音楽へ向けた感情を露わにしている人達と空間を共にしていることも快感。

ダイブも2,3回したことあるけど、それはちょっと歳なのでもう辞めておこうかなと思う… 落ち方失敗して体痛めたくないし。

 

Green Dayのファンはみんな優しかったな。

転んだ時はあたらないように避けてくれたりした。SUM41の時もそうだったな。基本的にただ暴れたいだけの集団じゃなくて愛を感じるから好き。

というか、自分の周りの男女比は9:1とかで、おねーさんほんとにここいて大丈夫?的な視線をちょいちょい感じたね。

とりあえずトートバッグ持って挑むのは馬鹿すぎたので反省してます。すみません。

サマソニまでにショルダーバッグ買います。

私の今の夢はモッシュピットで彼らのAmsterdamで踊る事だなあ。

 

奇跡的に3人が収まった写真。

それにしてもBillie、本当に53歳か?!

声量と音程の安定感よ。この熱量のライブを、この歳で毎日の様に続けられるの凄いな。

全力でオーディエンスと向き合っているのを感じた。アリーナ全体を包み込んでしまうほどの温かさを、彼自身から感じた。

 

横浜2日目で、最後にステージに呼ばれてギターを弾いた男性がいたのをSNSで見た。

フォロワーの誰かが、きっと彼が産まれる前に出た曲なのに、こうして新しい世代にも伝わっていくんだねえといったような呟きをしていた。

私にとっても彼らの音楽はそうだなと思う。

Dookieは産まれた年にリリースされたアルバムだし、この日に聴いた楽曲はほぼ全て、リアルタイムで追ってはいなかった。

音楽には、芸術には寿命なんてものは存在しないということを、改めてありありと認識する。きっとその人がその音楽に出会う瞬間が、その音楽が存在すべき時だ。

 

それと私は以前より、初期の作品がヒットして、それから先どのような作品を出しても、過去の作品ばかりが評価され続けているようなアーティストの気持ちを、勝手に知った気になっていた。

思い込みも良いところだ。

彼らのライブを見て、考えを改めようと思った。

Green Dayのライブの姿勢には、彼らが自ら、古くから存在する楽曲に、永遠の命を吹き込んでいるように感じられた。

 

NBTは昨年、彼らのEUツアーのサポートアクトを務めていた。

インタビューで、Billieがバンドが長く続いている理由として、互いがバンドメンバー以前に、学生時代からの友人同士だからだと話していて、同じように学生時代にバンドを組んだ彼らはシンパシーを感じたと言っていた。

彼らもこの先何十年もずっと仲良くバンドを続けていて欲しいなあ。

いやきっと、彼らなら願うまでもなくそのはずだ。

私には可愛いConor Mason53歳が仲間たちとロックしてる姿が見えるぞ。

そして彼らの1stアルバムがリリースされた頃に産まれた子達が、彼らのライブを見に来るんだ。

 

3月はアウトプットの月にしたいと思っていたものの、こうして2月を振り返ってただけであっという間に過ぎ去ってしまった…

でも絵の練習をしたりもしてた。あとは創作活動を再開させようとしていたり。

自身もアーティストとしてちゃんと活動していこうと思う。

 

どこまでも溢れてくる彼らへの愛が、ドーパミンからセロトニンに代わりつつあって、それは良いことだなと思った。

なにせ今年はもう、彼らは来日しないことが分かってますからね。悲しきかな、心がとても穏やかだ。もう彼らには2023年の春からずっとハラハラさせられっぱなしだったので。

 

そういえば、今年はサマソニに行きたくないとか思っていたけれど、どんなにしょぼいアナウンスのされ方だろうと、Fall Out Boyがヘッドライナーときちゃ、行かないという選択肢はなくなってしまった。