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行きと同じ電車でロンドンまで戻った。
Southend-on-Seaには無料の公共トイレがあったのに、ロンドンのそれは有料だった。
一気にヨーロッパの都会に来た感がした。
1£しかなくて、お釣りありますか?って聞いたらYeahと言われて、渡したら、ニヤニヤしながら無視された。後ろに長い列があったから何も言い返せなかった。
自分はこの国で今一番人権がないという事実を思い知らされた。
Undergroundの階段を登る時、女性がスーツケースを持つのを手伝ってくれた。
海外には親切な人も沢山いる。
嬉しかった事でちゃんとプラマイゼロに戻さないと駄目だ…
そして目の前に突如現れたのが、
Big Ben!!!
4年前に来た時には工事中だった。
これを見れただけでロンドンに来た価値はあった。
King's Cross St. Pancras station
4年前のイギリス旅はこの駅から始まった。
懐かしい。
素敵な建物。
前回来た時に食べそびれて悔しかった、コーニッシュパスティを食べた。
めちゃくちゃ美味しい…!
中には角切りのポテトと牛肉が入ってた。熱々だった。
イギリスは料理が不味いとか言われてるけど、スコーンもパイもショートブレッドもクッキーもケーキも美味しい。多分小麦粉を使わせたら天才なんだと思う。
この後は色々トラブルが乱発した。
ホステルでチェックインの時刻を過ぎてもベッドメイキングが出来てなくて、怒ったら今すぐ向かわせると行ったのに、来たのが30分後で、それも一切謝らなくて。
恋人に愚痴ったら「まさにロンドンって感じ」と笑われた。
こんな素敵な色の家に住んでみたい。
前回行かなかった方のRough Tradeに行ってみたり。
でも昨日の疲れが割とあったのと、夜にライブを見るのとで、あまり沢山動きたくないなと思った。
行く予定だった所に一ヶ所行かなかった。
旅の目的の一つがNothing But Thievesの聖地巡礼だったから、彼らのライブが見れたらそりゃもう最高だった。
でもこの時期に予定されていたウクライナとロシア公演のキャンセルに合わせてか、GWに被ってた北欧の日程も全て延期にしていた。
4月にベルギーとかでライブやってて泣けた。
でも色々調べてたら、girl in redがロンドンでライブをやることを知った。
行こう!
例の如く即決。
ライブハウスがあったのは、ロンドンの原宿ことカムデンタウン(Camden Town)の近くだった。
Round House
ライブハウスの看板?アーティストの名前が載ってるやつが無くてしょんぼりした。
Marianas Trenchの時も無かった。
18時半頃に行ったから、てっきりもう開場しているものだと思っていたけど、当然のように海外ライブの名物、大行列が見れた。Okay, I knew it.
永遠と続く列を眺めながら、最後尾まで向かった。
アジア人は10人程度しか見なかった。
前回のフェスでのレイシズムをぼんやりと思い出した。いや、差別が怖いんじゃない。これは「疎外感」という名のつくもの。
恋人にその事を話したら、"Do you need to see Asians???"と困惑した絵文字が返ってきた。日本に生息しているイギリス人の彼は疎外感を感じたことが一度もないらしい。そりゃ羨ましいと思った。
独りで来てるアジア人の女の子がいた。
なんだか話しかけたくなったけど、彼女の操る言語は私の言語と絶対に違うんだろうなあと思った。
girl in redことMarieは、レズビアンをカミングアウトしていたし、クィアアイコン的存在だからか、ファンに服装が個性的な人を沢山見た。
この国は女性の露出について口煩く言う人間はいないんだろうなあと思った。
太っていることと、自分の好きな服装でいることは、何の対立関係を持たないことを教えられた。
みんな凄く素敵だった。
駄目だ、文で再現できない。至近距離で人の写真なんか撮る訳にいかないし、この時ほど自分の両目がカメラだったら良かったのにと願ったことはなかった。
レインボーフラッグを持った子が沢山いた。
そして誰一人としてマスクをしてなかった。
私を除いて。
19時開演のはずなのに全然列が進まない…
やっと入れたらオープニングアクトが既に始まってた。
Del Water Gap
とても素敵なconcert venueだった。
コロナのことがあるから、ライブは最後尾で見ようと決めていた。会場の写真を見て、これなら後ろからでも楽しめるかなと思った。
彼らが終わったのが20時半。
彼女のライブは21時に始まった。なんで海外のライブはこんなに遅く始まるんだろ…
girl in red
オーディエンスの溜め込んだ熱気を爆発させるにはぴったりな、この曲からスタートした。
You Stupid Bitch
MarieのMCは早口でめちゃくちゃ聞き取りにくかった。でも彼女の性格が凄く出てるなと思った。
オーディエンスに向けて決め台詞を言うというよりは、ひたすらランダムに突出した「あのね、聞いて聞いて!」って感じだった。
以前他のインタビューでも、自分はいつも早口で喋っちゃう、でももうそれでいいの、そんな自分を否定なんかしないから、みたいなことを言っていた。
今になって、全部録音すればよかったと後悔した。
これが私を有名にしたやつ、と笑ってwe fell in love in octoberを演奏した。
でもそうか。
「あのね、聞いて聞いて」は、彼女の曲そのものか。
彼女の書く歌詞はいつだって真っ直ぐで、ありのままを曝け出していて、それがLGBTQコミュニティの沢山の子を救ったのは、想像に難くない。
hornylovesickmessも楽しみだった。
個人的に好きな曲、dead girl in the pool.
「パーティーの翌日
家はめちゃくちゃ
外に誰かがいる」
「プールで女の子が死んでる
どうしよう
プールで死んでるは私だ
一体何が起きてるの」
隣の女の子達が、終始凄まじい金切り声をあげてた。
ほんとはもっと楽しみたかった。
でもあまりにも熱狂的で、世界が違いすぎて… 引いた。
私、数日後にPCR受けるんよ…
心から楽しめないこの状況を呪った。
コロナが続く限り、この憂鬱は消えることがないんだろうか。
そしてやっぱり、海外アーティストが日本のファンの為にするライブが早く見たい。
でも日本でマスク着用で声出し禁止のライブがいつまでも定着してしまうなら、どっちがましだろうかと考えた。
秋にPale Wavesが来日する。こんな感じのライブをする彼女達を地球の反対側まで連れてきて、お葬式みたいなオーディエンスで迎えてがっかりさせたくない。すごく複雑な気分。
Did You Come?
彼女は終始エネルギッシュで、彼女が自分の音楽に身を任せて踊ってる姿を見ているのは、とても心地が良かった。
この日はドラマーの誕生日で、Marieは彼にお約束の顔面ケーキ。その後それを再び手に持ち、まさか、まさかと思っていたら、本当にオーディエンスに向けてぶん投げた。
《セットリスト》
You Stupid Bitch
Body and Mind
girls
.
we fell in love in october
hornylovesickmess
bad idea!
dead girl in the pool.
midnight love
Did You Come?
i wanna be your girlfriend
なんと、彼女のライブはたったの1時間で終わった。
OAとほぼ変わらなかった。
そして、そして、一番聴きたかったserotoninをやらなくて唖然とした… ショックだった…
これアルバムツアーじゃないんか……
なんか、「やれって言われてた曲をやんないよ!」って言ってたから、この曲のことだったかもしれない…
翌日自分の体調が悪い事をインスタで告白しているのを見て、それが理由で短縮してたのかもしれないなと思った。
というか、これ以降の日程全部キャンセルしてる… 絶句。
会場を出たのは22時15分。
初めは地下鉄を利用する予定だったけど、乗り換えもあるし治安が不安だったから、あの赤い二階建てバスに乗って帰った。
終電は0:06だった。意外と夜遅くまでやってるのね。
私はブレッブレの写真を撮る才能がとてもあると思った。旅の終わりにカメラロールを見て何度溜息をついたことか。
ホステルの周りはまだ開いてる店もあって、人通りもあった。
トランスジェンダーフラッグの横断歩道。
静まり返ったホステルの部屋に、忍び足で戻った。
こんなに夜遅くまで出歩いていたのに、翌日はなんと5時半起き。
ベルギーを通って、一気にオランダまで行きます。
なんという狂ったスケジュール。
そしてそんな狂ったスケジュールを、こんなにメンタルが弱々になった私が耐えられるはずがなかった。
④に続く