You are what you love not who loves you.

自分に影響を与えたかっこいい音楽を紹介したりとかしてます。

聞きたいことだけ歌ってくれるのがアーティストじゃないからな

TwitterのTLで見てしまったtweetが、何だか引っかかって、引っかかって、何週間も引っかかり続けたので文を書く。

某邦ロックバンドの人の呟き。

 

 

おそらく脱原発について触れたか何かで、物議を巻き起こした事を受けての反論のtweetなのだけど。

"ロック(音楽)で政治や宗教を唱えるつもりはない"

 これを読んで、私はただただ純粋に、

じゃあ彼等は音楽で何を伝えたいんだろう?

と思った。

 

そしてこの弁明の仕方では、あたかも「ロックで、音楽で政治や宗教に触れるのは良くない」と言っているように受け取れて、そこに何だか引っかかってしまった。

だって、政治や宗教に触れた音楽なんて、星の数ほどあるじゃないか。そもそもロックって、そういう精神が宿ったものなんじゃないのか。

 

彼等、この英語学習環境としては最悪の国日本でわざわざ英語の歌詞を書いているのだから、外国の音楽も沢山聴いてきたのだと思う。

私は音楽偏差値3くらいの人間だけど、それでも政治や宗教についてアプローチを試みた音楽は、沢山知っている。

例えば、Green DayってバンドのAmerican Idiotなんて曲はどう。誰もが一度は耳にしたことがあるだろう。あれは究極に政治的な曲だ。

私が大好きなUKバンドNothing But Thievesも、「この時代に音楽をやっているのだから、今世界で起こっていることについて歌わなければ」と、政治や宗教に触れた曲を何曲も作っている。

けれども私は、彼等をわざわざ政治的なバンドとしてカテゴライズした事は一度もないし、ましてやその部分にとりわけ惹かれている訳でもない。ただ、そんな彼等を尊敬してはいる。

 

「今世界では色んなことが起こってるんだ。自分自身を教育しなさい!(="EDUCATE YOURSELF!!!")」

OZバンドTonight AliveのボーカルJennaの、何のフェスの動画だったかは忘れたが、MCでの気迫のこもった彼女のこの発言が、私は忘れられない。

 

MAN WITH A MISSION

"使命を持った男"を名乗る彼等の、その「使命」って何なんだろう。疑問に思った。

 

別に私は歌詞に意味のない曲は駄目だなんて思っちゃいない。恋愛ソングが駄目だなんて思っちゃいない。どんな曲だろうと、誰かに何かを訴えかける力は持っている。

だから私はこの文章でもって、このバンドを非難するつもりは毛頭ない。彼等について多くは知らないのだし。

ただ分かっている事だけでも、彼等は東北の被災地の復興支援を継続的にしているようで、フォロワーさんがRTする呟きからでもその人柄(オオカミ柄?)の良さは充分に伝わる。

彼等のいう「使命」がその事だと言うのならば、それだって充分すぎるほどに立派だと思う。

 

上記のメンバーの呟き自体にも、そこまで非があるとも思えない。おそらくこの考えの下には、日本にまだ根強く残る「政治を語る事をタブー視」する風潮があるのだと思うから。

少し前にも、タレントのローラが「サンゴ礁を守ろう!」と、埋め立て基地の反対を支持したことが、物議を巻き起こしていた。

けれど。

世界終末時計が地球滅亡まであと2分を指し示した2019年、今この時に、この世界で、この国で起こっていることについて触れるのは、そんなにも非常識なんだろうか?

 

私の心に残っている言葉を紹介したい。

LGBTの展示を企画した人のインタビュー記事で読んだものだ。彼はLGBTに関する作品を作る意義を、こう語っていた。

「マイノリティを守るための規則や条約を幾ら作っても、人の心までは動かすことはできない。だけど、アートその心を動かす可能性を持っていると思う」

アートで戦争や平和、政治や宗教を扱う意義は、きっとそこにあるのではないか。

政治家の演説よりも、教科書の説明文よりも。一枚の戦場の写真が、作者も知らない誰かの絵が、自分の心にいつまでも残り続ける事がある。

音楽にイラスト、アートは身の周りに沢山ある。だからアートこそが最も大きな力を持つと信じて疑わないし、自らの作品でそういった問題にアプローチを試みるアーティスト達を、私は凄く凄く尊敬する。

 

私が言いたいのはこれ。

私はただ、この国に蔓延しているアートで政治や宗教に触れることを嫌厭する風潮が、大嫌いなんだ。ましてやアーティスト自身に、それらに触れて「ごめんなさい」と言わせるなんて、何様のつもりなんだ。ビリー・ジョー・アームストロングにギターで頭を殴られてしまえ。

自分の意見を持つ事それを言葉にして伝える事。それだけだって難しいし、勇気がいるし、出来ない人の方が多いこの世の中だ。

だから、それを成し遂げる、それからそれらをアートにまで昇華する事は、この上なく素晴らしい事なんだと、どうか気づいて欲しい。